ソーシャル・メディアによる世論操作

23.07.2018

Photo: democracy-reporting

 

ソーシャル・メディアを頻繁に利用しなくても、間接的な影響下にあることは否定できない。ソーシャル・メディア・プラットフォームによる世論の操作は、公衆の生活にとって重大な脅威となっている。このため世界各国の政府機関や政権は、メディアの拡散する誤った情報で公的機関への信頼を損なうとして、フェイクニュース拡散防止の名目で、検閲と管理の動きが活発化している。

 

オックスフォード・インターネット研究所の最新の報告書によれば、この問題は大規模に拡大していることが明らかになった。インターネット上のフェイクニュースを防ぐ目的で新しい法律を導入した多くの民主主義政府の努力にもかかわらず正式に組織されたソーシャルメディア操作が行われている国の数は、世界28カ国から48カ国に増えている。

 

Facebookのフェイクアカウント

もう一つの課題は、個人がニュースと情報を共有するために使用する媒体の進化で、検閲を避けるためにチャットアプリケーションの人気が高まっている。オンラインコメンテーターや最近Facebookでも大量に削除されたフェイクアカウントは、意識的に特定アカウントのメッセージを拡散するために使用されたり、コンテンツを戦略的に共有したり、キーワードを使用してゲームアルゴリズムに投稿したり、特定のコンテンツの傾向を把握するために使用される。

 

各国で検閲システムの導入の動きがあルものの、本来はフェイクニュースを防止するはずの検閲システムが政権に有利な検閲を正当化する新しいツールとして使用されている恐れもある。 

 

Instagramとフェイクインフルエンサー

厄介なのは政府がソーシャルメデイアの活動を抑制するための法的および規制上の措置を取れば、新しいプラットフォームが開発されるイタチごっこが始まることだ。実際、若い世代はFacebookから写真主体のInstagramに移行下がここでもフェイクインフルエンサーが存在する。

 

組織化されたソーシャルメディア操作には膨大な経費が注ぎ込まれルため莫大な利益が流れ込むことで、メデイア運営企業の影響力が強まり(政府の努力にもかかわらず)、フェイクアカウント、オンラインコメンテーター、政治的なボット(ロボット)による世論操作は増大する一方である。

 

政府の介入は個人情報の保護と相反することや、行きすぎた管理や検閲が逆に独裁政権の助長につながる「諸刃の刃」である。しかしソーシャルメディアに疲れた人々の離反する傾向もあり、結局その善悪判断と参加の意思決定は個人に委ねられて自然淘汰は避けられないであろう。なぜなら一連のフェイクニュースを通して、ネットユーザーは学習し自身で避けるための方策を考え流ようになっため、フェイクアカウントやボットなどが陳腐化しているからである。

 

政治ツールとなるソーシャルメデイア

最大の問題はメデイアが政治的に公平さを欠き政府に有利なように世論操作を行うということである。メデイアが横並びで、同じ思想に基づいた報道をするのは、ソーシャルメデイアに限らない最近の傾向である世論形成の影響力が一般メデイアからソーシャルメデイアにシフトしつつある今日、ソーシャルメデイアの政治ツール化が最大の問題である。