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EUは今週、米国の大手IT企業Googleに、24億ユーロ規模のアンドロイド上の独占に対し罰金を課す決定を下した。AFPによれば、今週水曜日、GoogleがサムスンやHuaweiのような携帯電話メーカーと結託して、市場での支配的地位を得たことが独占禁止法違反に当たるとして罰金を決定した。
これによりトランプ大統領がヨーロッパの鉄鋼およびアルミニウムの輸出に関税を課すとした決定で激しくなる米国とEUの貿易戦争がさらにエスカレートする可能性がある。EUの規則によると、2017年には1,109億ドルに達した親会社アルファベットの年間収益の10%までに相当する罰金がGoogleに科される可能性があるという。これについてEUの執行機関である欧州委員会は、コメントを拒否した。
今回の24億ユーロとなるアンドロイド端末の優先運用を巡る罰金は、3大IT企業(アマゾン、アップル、Google)へのEUの罰金の最高額となる。Googleは欧州全体でインターネット検索市場の約90%を占めている。
GoogleはサムスンやHuaweiなどのアンドロイド端末にGoogle検索エンジンおよびGoogle Chromeブラウザをインストールし、Google検索をデフォルトに設定するよう端末メーカーに要求している。
欧州委員会は、Googleが機器にGoogle検索をあらかじめインストールしていれば、メーカーやモバイルネットワーク事業者にも「金銭的インセンティブ」を提供しているとした。EUの過去最大の罰金は、アップルに対して2016年に税務取引で回避された130億ユーロ(160億ドル)の納税額を支払うように要求したときのものである。またEUは、トランプ大統領の2016年の選挙運動に際して英国のコンサルタント会社ケンブリッジ・アナリテイカが、何百万人もの個人情報を悪用した県でもFacebook問題を取り上げている。
Googleへの罰金決定は欧州委員会委員長は関税争議などの問題でトランプ大統領との重要な交渉を行うために米国を訪れる1週間前となる。トランプ大統領がNATOの同盟国の軍備費について批判しタコと、ロシアのプーチン大統領との首脳会談、イランの原子力協定やパリの気候変動に関する米国大統領の脱退に加えて今回の罰金で、米国と欧州の溝を深め経済戦争の様相がいよいよ顕著になって来た。
なおiPhoneのデフォルト検索エンジンはGoogle、地図アプリGoogle Mapも標準だがブラウザはアップル独自のSafariである。検索エンジンへの整合性や使い勝手でChromeの人気は高いが端末メーカーがブラウザまで強要するのは行き過ぎである。本来ならGoogle以外にもそうしたアンドロイド端末メーカーへの罰金も合理性がありそうだが、Googleのみとなれば米国に絞った報復措置のイメージが強くなる。しかし公平性をきすならばiPhoneの搭載も含まれるべきだし端末メーカーも販売することで利益を得ている点も見過ごせない。
今回の罰金は独占禁止法違反の名目だが本当のGoogleリスクはそれではない。検索エンジンの順位ずけや翻訳エンジンをAIで周到に操作することによって、SNS同様に社会を動かせる存在であることなのである。
もとはといえば検索エンジンが独占で競争がないことが根幹の問題なのだ。Yahoo!を使ってみても検索エンジンはGoogleなのである。一昔前に経産省には情報系の研究者を中心に商用まで視界に入れた大航海という検索エンジン開発プロジェクトがあった。本気で取り組んだら少なくとも検索エンジンの独占を防げたかと言えば、勝ち目はないことがわかっていたからプロジェクトは予算化されることはなかった。