2億5千万年前の生命絶滅から復活するまでに500万年

28.07.2016

Source: Wiki

 

地球上に生命が誕生して以来、最大の危機は25千万年前の地球環境(気温)が生命維持に困難となった時である。地球上の生命はその際に全て死滅したと考えられていた。生命の源である太陽の酸素が枯渇したからである。その後生命の復活には500万年を要したことが新しい研究によって明らかにされた。

 

大量絶滅から生命が復活するまでなぜ長い時間がかかったかは謎であったが、このほどオマーンの砂漠の岩石の分析で理由が解明された。ペルム紀末にあった絶滅によって海洋生物の96%と陸上生物の70%が絶滅したとされる。昆虫の種の83%もまでが絶滅したのは歴史上他にない。

 

 

エジンバラ大学の研究チームの詳細な分析により当時の海洋が酸素不足でイオン過多の生物に適さない成分となっていたことがわかり、陸地の岩石が高温になって溶け出して海洋に運ばれたことが示唆された。海洋の酸素濃度の低下が多くの種の絶滅に関係しており、復活までに長時間を要した原因もそこにあると考えられる。

 

しかし気温の劇的な上昇が起きた原因は当時の陸地が地下に沈み込んでプレートテクトニクス(地震・火山・造山運動など地球表面の大きな変動)で壊された結果、当時の環境を知る手がかりがないため未解明である。巨大隕石衝突が引き金になったという説の他にも巨大火山が爆発して粉塵を吹き上げ太陽光を遮断したとする説もある。

 

 

火山の爆発によってCO2が大量に放出された可能性もある。温室効果も気温上昇に寄与したことも考えられる。生命絶滅があってもこれ以外は復活までの時間が短い。ペルム紀の絶滅のみが500万年という長期間を要した理由は謎である。研究者の中には火山の爆発で同時に放出された硫黄化合物が海洋を汚染したと考えている人もいる。

 

Source: NSF

 

しかし最近の研究で当時の岩石には毒性の強い硫黄は含まれていなかったことがわかっている。今回の研究によって海洋の酸素濃度が極端に低いことがわかり、生命絶滅の原因が酸素濃度の低下によることははっきりしたが、酸素濃度が激減した理由は不明なままである。

 

 

陸上生物の植物絶滅があれば河川の鉄濃度が増えるはずだし、気候温暖化で降雨量が増えればそれが海洋に流れ込む。また河川の藻類が増殖して水中の酸素濃度を下げるのかもしれない。酸素濃度が低下すれは魚類は絶滅する。研究チームは毒性の強い硫黄の増加より酸素の減少が劇的な生命絶滅に関わった点を強調する。適正な海中酸素濃度が復活すれば、生命の復活は早い。酸素が生命の維持に必要であるばかりか種の絶滅と復活にも重大な影響力を持つことが示された。