欧州発の金融危機–高まる銀行破綻リスク

09.02.2016

Photo: todayonline

 

 欧州で最も経済が堅調と言われてきたドイツの最大手銀行、ドイツ銀行の株価は20162月8日に9.5%下げた。年明けからの株価下落率は36%で、2008年のリーマンショック以来の株安水準まで下がり、時価総額は純資産の30%にまで減少した。

 

金融機関の株価下落はドイツ銀行だけでなく、コメルツ銀行、BNP パリバ、 HSBC、クレディ・スイス、バークレイズ、RBS、サンタンデールなどを含む欧州の「大きすぎて、つぶせない」銀行の株価も5%以上下落している。同年度比では、銀行株の株価下落は23%で、2015年の最高値から39%も下げている。欧州銀行株指数(Stoxx Europe Banks Index)は5.59%下がり、6週間連続に下落が続いている。下落が止まる要因はないため、欧州発の金融危機が起きる可能性は高い。

 

 

 

 去年から、原油価格の急落や新興市場国関連の債権の不良化で収益性と資本力の低下が懸念されていた。欧州の銀行はエネルギー関連債権のエスクポージャーが1,000億ドルに登り、原油価格の下落でエネルギー関連企業の不良債権の増加や原油輸出新興国のデフォルトが懸念されている。さらなる原油安、ドル高、マイナス金利が収益性と資本力の低下を招くのは確実である。

 

 

欧州5大銀行の破綻危機

 ゴールドマン・サックス、ヘッジファンド・マネージャーを経て、その後世界有数のヘッジファンドGLG Global Macro Fundの共同経営者となり、現Global Macro Investorの創立者であるRaoul Pal は、2012年に主要銀行の破産が欧州金融システム全体の崩壊を引き起こし、最終的に欧州諸国の経済破綻が起きると予測を出した。

 

 そのPal 氏は、4日に欧州の主要銀行であるドイツのドイツ銀行、スイスのクレディ・スイス、スペインのサンタンデール銀行、 英国のバークレイズとロイヤルバンク・オブ・スコットランドなどの株価の下落は、金融危機のリスクパニックを反映していると指摘した。中国の経済減少や原油価格の下落の問題より、欧州銀行のバランスシートの処理が2008年から十分進んでおらず、銀行は現マイナス金利に対応ができなくなっていることが最大の金融危機となると提言している。