新型空母で大洋進出を目指す中国海軍

06.03.2016

Image: the right handed cowboy

 

中国海軍の大洋進出の動きは中国共産党の戦略でもある。初めて2桁台の軍事費が1桁となった事と裏腹に空母3隻体制で南シナ海に睨みを利かせ、サンゴ礁を埋め立てて軍事基地とする一方、対アフリカ貿易と資源開発にも熱心で要衝ジブチ共和国の湾岸に軍隊を派遣し、軍事拠点化した。

 

このような中国の海軍補強の背景には海洋に進出して、輸出貿易ルートを拡大と資源開発投資の構図がある。しかし現状の海軍力は米海軍に対して劣勢であることは明らかで、その中でもミサイル攻撃に強みを持つ原子力潜水艦と大型空母が最大の弱点である。

 

そのため空母3隻体制を打ち出し、ロシアから購入した旧式空母を改造した67千トンの「遼寧」に加えて新たな空母の建造中である。カタパルト技術の欠如など技術面での遅れにより、米空母の打撃力には当分及ばないとする専門家が多い。しかし一方では急速な海軍力増強により数年で米海軍を上回る攻撃力で世界の海を支配するとする意見もある。米海軍は大型空母を10隻を運用する世界最大の空母戦力を有しているが太平洋に展開する米第7艦隊は空母配備で戦力バランスが逆転する。

 

米国の太平洋艦隊(第7艦隊)に配備されている「ロナルド・レーガン」に新たに「ジョン・ステニス」が加わった。

 

 

Source: dynamicmovement

 

米海軍の1/3のコストでありながら発車までの時間が短い原子力潜水艦からのミサイル攻撃能力、現在試験飛行中のステルス攻撃機、世界初となるカタマラン型空母の攻撃能力など近代化により、中国艦隊の攻撃能力が一変する可能性がある。現時点での遼寧」の攻撃能力で中国海軍の将来の能力を評価することはできない。上のイメージ図のカタマラン型空母を始めとして近代化を継続すれば東アジアの脅威となる。

 

中国の空母増強計画は全部で6隻を建造し2隻ずつを太平洋、大西洋、インド洋に展開すればすでにキューバ、ブラジル、ヴェネズエラで掘削を開始している原油生産事業の安全保障とする計画である。

 

 

 

東シナ海では中国と日本の主張する領海は図のように大きく食い違い、日本が実効支配するる尖閣諸島の埋立と領有権を巡って争いが起こっているほか、南シナ海でも領有権を巡ってベトナム、マレーシア、フイリピンと領有権の争いが生じている。南沙諸島の基地化について米国も101400トンの原子力空母「ロナルド・レーガン」を派遣して中国を牽制している。現時点では「ロナルド・レーガン」の攻撃力に「遼寧」は遥かに及ばない(注1)が3隻体制となれば互角となるため、

 

(注1)中国、ロシアはカタパルトの技術を持たないため離陸できる攻撃機の武器が制約されるため。新型(カタマラン型)空母ではカタパルトが採用され飛行甲板の面積が倍増するため、完成すれば攻撃能力が「ロナルド・レーガン」をしのぐ。