北朝鮮ハッカー集団の新たな動き

01.11.2017

Photo: highstakesdb

 

 米ウォールストリートジャーナルによると北朝鮮ハッカー集団による米韓軍事計画の不正入手に続き、護衛艦、潜水艦やイージス・システム搭載のイージス艦を製造している韓国の造船会社大宇造船海洋がハッキングされ、機密の軍事情報が流出したことが明らかとなった。

 

 米国防省は北朝鮮ハッカー集団が20169月に、韓国国防総合データベースをハッキング、北朝鮮の金正恩委員長の暗殺作戦、米韓軍の戦時作戦を含む米韓両軍の軍事計画が不正入手されたことを10月に公表したばかりである。その際、流出した機密情報は235GBの軍事文章で、80%に関してはどのような内容が不正入手されたかが未だに明らかとなっていない。

 

 今回明らかとなったハッキングは20164月に発覚、捜査により昨年10月に軍事機密情報を盗んだのは北朝鮮ハッカー集団と断定された。流出した情報には、潜水艦やイージス艦の内部設計図や製造技術情報、韓国の潜水艦対空ミサイル・システムや多数目標の同時探索探知、追尾、評定、ミサイル発射を担う多数機能レーダーといったイージス・システムの中心となる情報を含む60件の機密ファイル、約4万の文書である。

 

 

 大宇造船海洋の企業内ネットワークと外部ネットワークが繋がって、ハッキングの脆弱性が指摘されていた最中に起きた事件である。大宇造船海洋は潜水艦17とイージス艦(韓国用を含む)を含む艦船44隻の製造契約を結んでいるが、安全保証に関わる情報がもれたことで、安全保障上の重大な企業責任問題に発展する恐れがある。特に最新の戦闘形態ではネットワークが中心になりつつあり、味方同士は情報共有した電子戦の色彩が濃くなっている。

 

 ロシアの次期ステルス戦闘機の配備が遅れているのも、米軍のF-35開発の遅れも複雑な攻撃システムソフトウエアの開発の遅れが原因である。もし機密性の高いソフト情報がハッキングによて漏えいすれば、多額な予算で整備した兵器の戦闘能力が大幅に損なわれかねない。また本来は味方同士の情報共有で有利な立場にたてることを逆手にとられないとも限らない。

 

 

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