カタロニア独立へ向けて強まる反政府デモ

22.10.2017

Photo: theantimedia

 

カタロニア州の中心都市バルセロナでは中央政府が自治権の一部を剥奪したことに抗議して市内で数10万人規模の抗議行動が起きた。バルセロナ警察調べでは450,000人が抗議行動に参加、自由独立を求めてデモ行進を繰り返している。

 

抗議行動の参加者たちは中央政府の決断に対するカタロニアのリーダー、プッチダモン首相の演説が予定されているバルセロナ目抜き通り(Paseo de Gracia)を目指している。

 

スペイン政府はカタロニア自治権剥奪を宣言

スペイン政府は憲法155条で合法的な自治権の剥奪を行うことを発表したが、独立派はこれに強く反発して抗議行動に発展した。こスペイン政府はバルセロナのカタロニア議会の解散を行うとともに、近く選挙を行うとみられている。またラジョイ首相は自治権剥奪によってカタロニア州の地方公務員を中央政府に組み込まれることになるが、直接統治のためではないとしている。

 

独立に関する住民投票では投票数の90%が独立賛成票であったが、組合員の多くが投票しなかったため、投票率が40%であった。投票率の低さを根拠にしたいラジョイ政権だが、その強硬な自治権剥奪は独立派を刺戟する結果となり、バルセロニアでは反政府の抗議集会が盛り上がっている。

 

投票前には最大100万人を集めたバルセロナだが今回も、45万人が抗議行動にでたことで普段なら落ち着いた雰囲気のバルセロナ市内は騒然としている。スペイン政府の強硬策はカタロニア議会からは「民主主義への攻撃」として強い反感を生み出した。

 

独立阻止は経済損失の回避

ラジョイ首相自身が「カタロニア独立によるスペインが受ける経済損失は受け入れがたい」ともらしているように、自由独立の民意と経済損失を秤にかけた上での措置であったことは明らかになった。実際、大手企業がスペイン東北部での創業から撤退している。この場を力づくで押さえつけても独立運動は続くので、このまま企業の撤退が続けば(独立を阻止できても)経済損失は止まらない。

 

またカタロニア独立の影響はスペインにとどまらず、欧州全体に及ぶ。リベラルにとって響きの良い「多様性」に潜むリスクは移民問題だけではない。カタロニアの独立は移民問題と財政問題で痛手を負った欧州の求心力をさらに低下させることになる。

 

関連記事

カタロニア独立の阻止が困難となったスペイン政府

カタロニア独立宣言のインパクト