ISがエクスプローラーを選ばない理由

08.10.2015

Photo: sodahead


映画「いまそこにある危機」中で、米国CIAが使っていた黒塗りのフォードエクスプローラーは米国内ではSUVの代名詞。14年間販売首位の座を守っている。


1990年にブロンコ派生車として登場、4lV64WDで角ばった車体は徐々に丸みを帯びてきているが、トルクフルで無骨なSUVとして政府御用達である。中東のCIA活動や政府要人の移動に隊列を組むエクスプローラーは力でねじ伏せようとする「強い米国」の象徴でもあった。


自衛隊の対テロ作戦の一環としてテロリストがエクスプローラーに乗って自衛隊を襲う模擬訓練が米国で行われた。黒づくめの服装はISを意識してのことだが、どこかおかしい。ISはエクスプローラーに乗ることはないのだ。


IS御用達の車といえばランクルとハイラックス。どちらもトヨタ車でそのエンブレムが嫌でも目に入る。米当局はいまごろなぜトヨタ車をISが入手できたか販売ルートを調査している。


ハイラックスは人気番組「トップギア」での耐久実験が話題を呼んだ。高さ73mの老朽化ビルの屋上に置かれて爆破により建物を破壊し、がれきの山から掘り出して外観上はボロボロになった車体を基本工具のみで、緊急に修理して復活してスタジオに現れた。


 

この番組の耐久試験は最も過酷だったが、ハイラックスという車が頑丈で壊れない車というイメージを定着することになった。

 

ハイラックスの頑丈さは基本設計が1968年にトラックメーカーの日野自動車がトヨタと共同で行ったからである。5代目にあたる1995年モデルから北米で「タコマ」として販売を伸ばしたが、手頃な直列4気筒2lを中心に2WD4WDと幅広い選択肢で購入しやすい価格もあってトラックベースSUVとして、北米のほか欧州、オーストラリアでも販売された。

 

ISが北米でタコマを購入したはずはないから、入手先は欧州と思われるが、中東でも1万台以上販売されているので、中古も含めればISでなくとも世界中で入手可能なグローバルカーなのだ。

 

ランクルはいまでも盗難車の上位にランクされる高級車であるが、テロリストとしては高級ブランドで英国王室

御用達のランドローバーに乗ることもできなかったのだろう。ランクルの名は1954年からあるが当初はジープのコピー車でありながら性能的にはジープを上回るもので、北米で展開しながら徐々に車名を定着させていった。

 


Photo: ipma.hobbyvista

 

1984年に大型モデルは4.4lV8(デイーゼル)のパワフルなエンジンの大型SUVとして国内外に販売されたが、おとろえない人気のため2014年に復活した。ISがこのモデルを手に入れるとはないと思われるが、隊列を組むランクルは中古とは思えないほど痛みがない。新車かそれに近い状態のハイラックスやランクルを仕入れるルートがありそうだ。ちなみに日本国内で盗まれたランクルは国外に運ばれて高値で取引される。それならいっそ大量のランクルを囮捜査に使えばよさそうだが、いまから調査しても始まらない。

 

トヨタ車が人気なのは頑丈で価格が安い、海外販売台数が多く部品の入手が容易であることのほかに大量の砂塵をかぶる砂漠での走行に強いことによる。IS広報によってそれらが宣伝されることになったのはなんとも皮肉である。