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ロシアは反アサド勢力の空爆を開始してから、72時間で60回の空爆を実施、50個所のISISの司令塔、武器倉庫、軍設備などを含む標的の空爆を行った。世界はロシアの軍事力に驚いた。なぜならば、米国は一年かかっても、ISISの勢力を壊滅することができなかったからである。その後も、欧米の批判を受けながら空爆を続け、12日から空爆と同時に地上戦が始まった。その地上戦に参加しているのが、ロシア、イランとキューバの軍隊である。
キューバ軍の派遣
米国は7月に、キューバと54年振りに国交を回復したばかりである。だがキューバは、シリアを巡り、欧米ではなくロシア、シリア、イランの支持を明らかにした。キューバは軍隊をシリアに派遣、ロシアと共に大規模地上作戦に参加している。ラウル・カストロ議長はシリアの内戦が始まる前から、アサド政権の支持と軍事的な支援を表明していた。
キューバとロシアの関係は第2次世界大戦中にまで遡り、キューバ軍はロシアからの軍事支援をこれまで受けてきた。軍隊は小さいが(全人口の0.8%)、兵士の戦闘能力は高く、軍事能力は世界110位である。派遣された兵士の多くは、ロシア産の戦車を操作できるため、ロシア軍の地上戦の支援としてロシアで訓練を受けた後の12日にロシア軍機でシリアに運ばれた。
キューバ軍によるロシアやシリアの支援は、今回初めてではない。1970年代にアンゴラやコンゴ、1973年には第四次中東戦争でシリアに軍隊を派遣した。
イスラム革命防衛隊の派遣
イランのイスラム革命防衛隊(Islamic Revolutionary Guard Corps: IRGC)の特殊部隊「クッズ旅団」(Quds Brigade)がイラン軍、シリア軍、ヒズボラ、キューバ軍と地上戦に14日加わった。司令官のガーセム・ソレイマーニ将軍は「中東のロンメル」と呼ばれ、欧米だけでなく中東諸国の間でも「中東で最も権力のある人物」とされている。ソレイマーニ将軍はアフガニスタン、クルド、イラク、シリア、レバノン、ガーザ、イエメンでのイスラムシーア派勢力への軍事支援を通じて、中東におけるシーア派勢力の拡大を果たした。軍事戦で一度も反戦したことがないソレイマーニ将軍が総司令官として、シリア反政府勢力と戦うことになる。
ロシアの特殊任務部隊のスペツナズの投入
ロシアは150,000人の兵士に加えて、スペツナズを地上戦に投入した。スペツナズ部隊は、チェチェン戦争でイスラム過激勢力と戦い、多くのロシア人の虐殺を行ったイスラム過激勢力に対し憎しみをもっていることから、IS戦闘員との戦闘に最もモチベーションが高いとされる。
スペツナズ部隊は、空爆後の地上戦でアサド政権の反政府勢力を抹殺することが任務となる。アサド政権にとっての脅威をすべて廃城することが目的である。
ロシア、イラン・シリア、キューバの軍事連合が結成され、IS・アルカイダ・自由シリア軍、ジャプハト・アル・ヌスラなどを含むアサド政権に対する反対勢力に対する大規模地上作戦が行われている。この作戦を支持しているのが、隣国のイラクとエジプトである。
カスピ海の軍艦4隻からの巡航ミサイル攻撃も開始。今現在、トルコの国境に近い、シリアの最大の商業・工業都市であるアレッポとシリアの北西部のラタキアで激しい地上戦を行っている。ガスと石油油田があるラッカを含め、これらの主要都市を反アサド勢力の支配から奪還できれば、アサド政権はシリア内戦を終結に向けることができるようになる。
オバマ政権やNATOはロシアの軍事介入を批判している。プーチン大統領は、「シリアの空爆を開始して1年以上になるが、アメリカはほとんど成果がなかった。我々のパートナーの米国は、政治的解決などの非常に重要な方針に関する直接対話を拒否するのに、なぜシリアでのテロリズムとの戦いに関するロシアの行動を批判できるのか、私にはよくわからない」と反論した。