火星を目指すLDSD

Apr. 18, 2015

 

 火星には水があることがわかり、有人探査や移住計画の現実度が上がった。水があればエネルギーを太陽から得て、酸素をつくれるからだ。


 NASAが計画しているLDSD(Low-Density Supersonic Decelerator)は空飛ぶ円盤のようにみえるが、火星に到達したときに必要な技術開発である。NASA以外に欧州も目指している大気圏突入で地表に着陸する際に減速するための飛翔体プロジェクトなのである。


 LDSDの実験が火星の有人探査とそれに続く人類の移住計画のためだとしたら、不思議に思うかもしれない。しかしアメリカ、欧州とも火星探査のための研究開発が活発化している。


 機体は外部のドーナッツはクッションになる。LDSDの当初の目標は希薄な火星の大気での減速で地上に着陸することだ。NASAを始め惑星間移動の計画で、LDSDは欠かせない技術なのである。




 LDSDの設計はジェット推進研究所が行なっている。円盤の直径は4.7mで、すでにハワイの基地から、2014年にヘリウム気球で37,000mの高度に運ばれ、切り離された後、主ロケットが点火されマッハ4でさらに55,000mまで上昇した。

 

 そのあとマッハ3.8まで減速し、直径6mの減速用のドーナッツ型風船が膨らんで機体表面積が増大し大気の抵抗で減速を行なう。これによりマッハ2.5まで減速できる。最終的にはパラシュートが開いてさらに減速する。2015年には直径8mに拡大され減速効率を上げて2回の実験が予定されている。

 

 映画「インターステラー」のように、人類が地球外に新天地を求める時代に突入した感がある。火星の大気の薄さや気温など地球の大気や気候と比較すれば住みにくいことは事実であるが、地中の氷河の発見で水資源の存在が確認された現在、住めない惑星ではなくなった。