米国連邦債務時計の謎

Apr. 29, 2015

 

 日本の借金時計は1010兆9772億円3982万円(4月28日20:00時点)と増え続けている。1秒ごとに政府債務残高が拡大していく米国の債務時計の債務残高の表示は4月23日までの40日間、18兆1129億ドルに凍結されていた。



 現在、米国の連邦債務残高は18兆1580億ドル(4月29日6:00時点)である。この連邦債務に対して上限を議会が設定する制度がある。つまり、アメリカ政府が法律上発行できる米国債の上限金額である。


  今日にある制度は、1917年の第一次世界大戦前に財務省による米国債の発行を制限するところから始まった。それから98年間、債務上限は設定されるが、財政赤字は拡大し続け、債務残高は債務上限を大幅に上回り、上限を繰り返し修正する道を辿ってきた。



 

 2014年度の連邦債務上限は17兆1130億ドルであった。しかし2014年2月には、上限を超え、債務不履行を回避するため、一時的債務上限引き上げ案が導入された。これにより連邦債務は2015年 3月 15日を期限に、無条件に引き上げることができた。その間の新たな債務は、前回の債務上限額の17.1兆ドルに加算され、その合計額が新しい債務上限額となる。


 

 新しい連邦債務上限は18.113兆ドルに設定された。それは1年前と比べ、約1兆ドルの増加である。債務上限額の増加額は年々拡大している。1965年からの 33年間に連邦債務は 5.6兆ドル増えたのに対して、2002年からの 13年間で12兆ドル増と大幅に増えている。特に、オバマ政権下での債務上限額は2倍に膨らんでいる。

 

 その新しい債務上限をめぐりオバマ政権は、新債務上限額に達する直前の債務残高18,112,975,000,000ドルで、連邦債務残高を少なくとも3月13日以降凍結したのである。このため以降40日間、連邦債務は18,112,975,000,000ドルで変わらないままであった。


 

 議会は上限引き上げを延長していないため、3月16日以降米財務省は臨時措置として「国債発行停止期間」を発動した。臨時措置を通じて債務の返済資金の調達は可能とみているが、議会予算局は、上限引き上げがなければ9月か10月にはデフォルトに至るとみている。

 

 債務上限の延長が議会で可決するまでの期間、米財務省は公務員退職障害基金、郵便局退職者社会保証基金や公務員確定拠出型年金への積み立てを一時的に凍結するなどの方法で資金調達を行うことになる。2015年の財政破綻の時期が迫っている。議会の建物(写真)はXデーが迫っていることと裏腹に夜は静けさに包まれている。はたしてXデーは現実になるのだろうか