次世代兵器を実戦配備する米海軍

16.02.2016

Photo: zdnet

 

海軍のレーザー砲に次ぐ最新兵器は次世代兵器の呼び声が高いレールガンである。SFやスターウオーズ計画の電磁砲と混同されることがあるが、電磁気学の原理に従う点ではあながち無関係とは言えない。レールガンは電位差のある二本の伝導体レールに導電性の砲弾を挟みレールから砲弾を通って流れる大電流によって発生する磁場の反撥力力を利用して砲弾を弾き飛ばす原理。

 

一見すればローテクに見えるがレールと砲弾の接触を避け摩擦を減らして初速度を上げるためにプラズマを媒体とする工夫を凝らすなど、ハイテク技術が織り込まれる。米海軍が開発中のものは10kg砲弾を超音速(秒速8,000km)で打ち出し、射程160kmに達し貫通力も飛躍的に向上する。2018年にはレールガンを駆逐艦に搭載し実戦配備する予定で開発を行っている。

 

電磁砲のアイデアはSFの世界やスターウオーズ計画でも真剣に取り上げられた宇宙兵器の一つで、火薬の爆発力の代わりに大電流で発生する強力なォーレンツ力で砲弾を超音速(マッハ6-7)で弾き飛ばす。貫通力が大きい理由は初速度が大きいため運動エネルギーが大きい(質量と速度の二乗に比例)ことによる。

 

レールガンの特許は1世紀も前にフランス人によるものでナチが対空砲のための研究を大戦中に行っっていた。2014年に米海軍はレールガンのプロトタイプの洋上発射試験を行った。レールガンでは蓄電器に78MWの電力を貯めて一気に電流を流す。上の写真で後方に見えているのは蓄電器で、大電流ケーブルでレールガンと接続されている。ケーブルの損失やケーブルの重量を考えると超伝導ケーブルを利用したいところである。

 

米海軍が未来兵器としているのはレーザー兵器とレールガンで、レーザー兵器はすでに一部実戦配備されている。両方とも性能と引き換えに莫大なエネルギーを必要とするので、大規模な発電・蓄電設備を必要とするので、重量が増加するデメリットや配備コストの制限により従来型155mm砲を簡単に置き換えることも難しい。

 

 

エネルギー(電力)の制限なしであれば効果的な次世代兵器のボトルネックは案外、減少一方の軍事費なのかもしれない。