米国マイナス成長でゼロ金利継続か

May 7, 2015

 Photo: Matthew Newton

 

 

 米国の3月の貿易統計は市場予想を上回る、2008年10月以来最大の貿易赤字を計上した。その結果、第1四半期のGDPはマイナスに落ち込むのは確実である。


 貿易赤字は市場予想レンジの378億ドルから最大の450億ドルを大幅に上回る、513.67億ドルであった。前月の358.92億ドルより43.1%も増加、前月比で見ると1996以来の最大の拡大幅である。従って、第1四半期のGDP速報値0.2%が貿易赤字452億ドルの想定で計算されているため、今後GDP改定値はマイナス0.5以上のマイナス成長に下降修正されることになる。


 

貿易赤字の拡大

 貿易赤字の拡大は輸入が前月比で過去最大の7.7%増加したのに対し、輸出の伸びは0.9%であったことにある。確かに、西海岸で発生した湾岸労働争議やドル高の影響は要因の一部ではあるが、製造業の衰退した米国の純輸入国としての姿が見える。

 

 では、第2四半期のGDPの予想はといえば、第1四半期GDP速報値を唯一的中したアトランタ連銀は5月5日には、0.8%と1%以下の成長の予測を出している。市場予想の平均3%超を大幅に下回る数値である。以下にアトランタ連銀のGDP予想図を示した。



 

景気後退を示す経済指標

 3月貿易赤字の拡大に加えて、景気後退を示す経済指標が増えている。3月の建設支出が昨年9月以降半年ぶりの底水準、1993年以降初めて生産性が2期連続低下したこと、市場予想6%増以上を下回った4月の新車販売台数(前年度月比4.6%増)と標準とされる36ヶ月を大幅に上回るサブプライム層向けの84ヶ月自動車ローンの規制により今後の伸び率の減速、4月の住宅所有率は29年ぶりの低水準、小売業界では今後全米で6,000店舗の閉鎖(下記参照)などあらゆる業界の小売店が店舗の縮小を予定していること、などがあげられる。

 

 

小売店          閉鎖になる店舗数

オフィスデポ         400

シアーズ           77

ラジオシャック        1,784

JCペニー            40

ドルトリー        340

バーンズアンドノーブル  223

アバクロ         180

ボディショップ      265

 

 

先のみえない景気対策

 それもそのはず、4人に1人は所得減少により、少なくとも50%を家賃の支払いに使っていることから、可処分所得が減少、小売業の売り上げが減少しているのである。

 

 景気回復ではなく、経済指標は景気後退の前兆を表している。雇用統計の結果次第では、FRBのゼロ金利政策が継続される可能性もでてきた。