米・湾岸6カ国の首脳会議に暗雲

May 15, 2015


Photo: Olympus Has Fallen 


 オバマ大統領が13〜14日にキャンプデイビッドで開催した米・湾岸協力会議(サウジアラビア、アラブ首長国連邦、クウェート、カタール、バーレーン、オマーン)の首脳会議には、加盟する4カ国の首脳は欠席していた。

 

サウジアラビアのサラマン国王の欠席

 サラマン国王は10日に首脳会議の欠席を発表、代理として、ナエフ皇太子(副首相兼内相)が出席した。首脳会議の時期が13日から5日間のイエメンでの人道的の停戦が始まる時期と重なるとの理由であった。


 だが、NYタイムズ紙によると、イランの核開発をめぐる米国との「枠組みの合意」への不満だけでなく、今後の米国との安全保障の強化に対し見解の違いへの不満が国王欠席の理由であると指摘している。




 首脳会議直前の8日に、ケリー国務長官は湾岸6カ国の代表と首脳会議の議題について議論を交わしている。その中で、湾岸6カ国、特にサウジアラビアが外部勢力から攻撃を受けた際に備えて、日米安全安保条約と同様な安保条約を結ぶことを米国に要求したが、米国の合意は得られなかったのである。写真はサウジアラビアとの特別な関係を確認するため頻繁に現地を訪れるケリー国務長官。



Photo: The Conversation

 

 加えて、オバマ大統領の最近の「同盟国のサウジアラビアは民衆による不満といった国内にある脅威に対処するべき」というコメントやアラブ諸国が特定の米国の武器しか購入できない事など、サラマン国王は米国に対する遺憾の意を「会議欠席という形で」示したことになる。

 

バーレーン国王も欠席

 バーレーンのハマド・ビン・イーサ・アール・ハリーファ国王は首脳会議を欠席し、英国エリザベス女王の招待により、ウィンザー城で年一度開催されているウィンザー・ホース・ショーに出席した。また英国との関係強化の話し合いを行うことになっており、米国での首脳会議には皇太子が代わりに出席した。バーレーン国王は米国大統領との会談より馬の鑑賞を選んだとして、米国ではオバマ政権の中東における政治力の低下や外交の失敗に批判が向けられている。

 

 アラブ首長国連邦のハリーファ大統領とオマーンのカブース国王は健康が理由で欠席している。首脳会議は、湾岸6カ国中2カ国、クウェートとカタール首脳の参加で実施されたのである。

 


会議欠席の意味するもの

 今回の首脳会議は米国のリーダーシップに対するアラブ諸国の不信と中東における政治的影響力の低下を反映している。米国が6月末に予定されているイランとの「枠組み合意」の最終合意があれば、同盟国としての湾岸6カ国は根本から揺れることになる可能性がある。