スペースX社のエース−ファルコン9 Part1

Jan. 8, 2015























 ドラゴン宇宙船の打ち上げ延期のニュースに関連して、ファルコン9打ち上げ延期というタイトルでの報道もあり、宇宙ビジネスの記事でもとりあげたがややこしいのでここで簡単に説明する。


 まずファルコン9についてだが、これはイーロンマスク率いるスペースX社が開発した商業用打ち上げロケットで、ファルコンの後ろの数字は組み合わせて使用する同じ規格の1段目ロケットの個数をあらわす。したがってファルコン9は9個のロケットエンジンを束ねている。


 ファルコン9は最初に開発したファルコン1の拡張版で、ちょうどエンジンの気筒数を増やして馬力を上げるようなもので、ファルコン9は大型貨物や有人宇宙船の打ち上げに使える。細かくみればver.1.0とより大型のver.1.1が存在する。NASAとの契約ではドラゴン宇宙船を使って、ISSへの補給を行う予定である。



ファルコンHeavy

 管制官が離着陸時の航空機のフライトナンバーに規定重量を越えるとHeavyを追加する。(特にエアバス社の2階建てジェット機A380ではSuperとなる)ファルコンHeavyというのはファルコン9 ver.1.1のエンジンを改良した上で3本を束ねたもので、3x9=27個のエンジンユニットを持つ超大型のロケットである。推力に余裕があるためドラゴン宇宙船の究極のミッションである火星への無人、有人旅行にも打ち上げに使われる。束ねることで大型化を目指すコンセプトはロシアのアンガラロケット同様で、コストと安全性に貢献する新しい方式である。
























 上の写真はファルコン9 ver1.1のロケットエンジン。9個が組み合わされる。1個がファルコン1に使われる基本ユニット。


回収と再利用

 ファルコン9ロケットのポイントは第1段・第2段ともにエンジンを逆噴射させて着陸させて、回収し再利用する斬新なアイデアである。燃料の15%を逆噴射に使っても1段が回収できれば、ロケットの費用の約3/4が節約できるという。打ち上げ基地への帰還でなく洋上に浮かべた回収基地への回収では燃料の使用が少なくて済むので、当面は1段目を安全に回収できるかが全体計画のコスト節約の鍵となる。サンダーバード1号のような逆噴射で生還するロケットがようやく視野に入ったことで、宇宙ビジネスは弾みがつきそうだ。

























 逆噴射して回収される1段目ロケット。サンダーバード1号に一歩近づいた。