瞬時に浄水する機能性高分子

2.01.2015

Photo: lumin: hunter

 

米国コーネル大学の研究グループが画期的な機能性高分子をつくることに成功した。新機能性高分子は水の不純物を瞬時に浄水する(Nature (2015) doi: 10.1038/nature16185)。使われたのはシクロデキストリンという環状に糖鎖が固定された表面積が大きい環状オリゴ糖の一種である。

 

研究チームによれば浄水機能は活性炭とシクロデキストリン(注1)の性質を組み合わせたことがポイントである。

 

(注1)シクロデキストリンは数分子のD-グルコースがグルコキシド結合で環状構造をとった分子。特徴は環の外側にあるヒドロキシル基により疎水性の0.65-0.95nmの空孔を持つ包接性分子である。下図分子構造参照。3つの構造(α,β, γ)で空孔内径が異なる。今回用いられたのはβ内径0.70nm。

 

 

Source: lsbu.ac.uk

 

近年、殺虫剤や化学薬品による地球の水質汚染が深刻化し水界生態系や健康被害に悪影響を与えている。これまで最も一般的に使われてきた活性炭による浄水には浄化速度が遅いという欠点があった。また使用済の活性炭を再度活性化するのには(吸着層が安定なため)多くのエネルギー(500-900Cの昇温)を必要とする上に、再活性後の性能は劣化する。

 

不純物の吸着作用で知られる疎水性のβシクロデキストリンは包接化合物をつくる性質を利用すると殺虫剤分子を吸着することができるが、これまではこの物質の表面積は(活性炭のように)大きくなかったため、効率が悪かった。

 

 

Source: Nature (2015) doi: 10.1038/nature16185

 

研究チームはβシクロデキストリンを芳香性化合物と架橋することにより空孔が多く表面積が著しく増大したポリマーを合成した。この新ポリマーは従来の15-200倍の不純物吸着能力を持ち、洗浄により再活性が可能である。

 

 

テストの結果、環境中に存在する濃度の汚染水に含まれた有機汚染物質を瞬時に取り除くことが実証された。この物質は低コストであるため高速に浄化できるため汚染水の浄化に役立つと期待されている。