パキスタンルートで核武装を狙うIS

19.11.2015

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ISの欧州でのテロによる混乱が続いているが、どうしても避けたいと誰でも思うのが、核武装である。広島、長崎以降、核兵器が今日まで使用されなかったことはその殺戮効果より、後世に及ぶ放射能汚染の負の遺産を背負い込むことへの恐怖からであった。しかしISのような狂気の集団にはその論理すら通用しない可能性がある。


上の写真で明らかなように彼らはスカッドミサイルを手に入れたことで、一気に最悪のシナリオである核兵器の使用も現実味を帯びてきた。スカッドミサイルの射程距離は300-500kmで、201211月にシリア政府軍が発射したことがある。


 

Photo: globalsecurity.org

 

核弾頭をISが手に入れる可能性を検討すると、イラン核兵器の製造の可能性がなくなった(注1)現在、パキスタン経由のルートが最も可能性が高いことがわかる。かつてMuslim Brotherhoodの一員であったWalid ShoebatによるとパキスタンにISが設営した。ISの迅速な展開で空爆の成果はそれほどでもなく、パキスタンの財政難と政治的不安定に乗じて国境を越えてキャンプの設営にいたった。

 

(注1)ウラン濃縮の道が絶たれ製造するには時間がかかるということで製造の脅威がなくなったわけではない。

 

そこで問題はパキスタンで同調者を増やし勢力を伸ばせばパキスタン軍の所有する核兵器を手にする恐れが指摘されている。実際、パキスタンの国民の98%がジハードに賛同しているという調査がある。またビン・ラーデンを匿っていたことは記憶に新しい事実である。

 

パキスタンの核兵器製造で有名なカーン博士によって、これまでにウラン濃縮技術を闇取引で北朝鮮、イラン、リビアに供与したとされる。一時はIAEA査察を要求した米国だが、パキスタンの拒否と様々な裏工作で対インドという名目で原爆が製造されたのみならず、核兵器技術(ウラン濃縮技術)が、上記の国々に流れた。現実にはウラン工場建設の困難さから製造そのものは(北朝鮮を除いて)進まなかったが、技術が流出した以上はリスクが存在し続けることになった。

 

 

ShoebatによればISがパキスタンで核兵器を手にするのは時間の問題だという。事実パキスタンは核兵器に関する情報を他国に漏らした唯一の核保有国でもある。パキスタンと北朝鮮の核兵器保有はイスラエル同様、これまで秘密のベールに隠されてきたし、それを世界が黙認してきた。イランに対しては徹底的に核拡散を防止する手立てを講じる一方で一部の国には目を瞑るということがここにきて裏目にでそうだが、絶対にあってはならないことを防止しなければならないだろう