イエローストーン噴火時の緊急移住計画

July 17, 2015

Photo: Yellowstone Nationa Park


イエローストーン国立公園は地表にマグマだまりが近く、噴火によって流れ出すリスクが高いと警告されている。新たにみつかった巨大なマグマだまりと近年のマグマ活動の活発化に対応しアメリカ政府は一時的にカリフォルニア州の住民を集団で避難する計画を検討することになった。


2015年の4月に起こったチリのCalbuco火山の噴火は過去42年で最大規模のもので噴煙は15kmもの高空に達し、付近の住民が避難を余儀なくされた。Calbuco火山は南アメリカで最も危険な火山であるが、イエローストーンの火山に比べればその規模はむしろ小さい。しかし映画「2012」で地球の異変がイエローストーン噴火とともに起きるように、イエローストーン火山は巨大な(火山噴火の)時限爆弾と表現されることが多い。


その40マイルに及ぶイエローストーンのクレーター直下に巨大なマグマだまりが存在することがわかった(Science Express)。その体積は46000立方kmにも及ぶ。(簡単にいえばグランドキャニオンを11回満たすことができるマグマの量)



Photo: Geology.com

 

マグマだまりは地下12-28マイルの深さにあってこれまでに知られているマグマだまりの4-5倍大きい。またこの巨大なマグマだまりはこれまでわかっているより地表に近いものの真下に存在する。

 

マグマ活動が強まり噴火となればこの巨大なマグマだまりの規模から予想される噴火はスーパー火山と呼ぶ規模で空前のものとなる。イエローストーン火山は210万年の噴火以来、66万年ごとに噴火を起こした。下の図は火山噴火で予想される避難マップ。

 

 

アメリカ政府は南アフリカ政府に年間100億ドルでカリフォルニア住民の受け入れを提案したが、南アフリカ政府がこれを拒否した(Ron Paul Forums)。アメリカ政府は緊急避難先としてブラジル、アルゼンチン、オーストラリアも考慮している。

 

南アフリカ政府は緊急避難で白人と黒人の人種間人口比率が急激に変化すれば社会全体へ及ぼす影響が大きいとしている。

 

 

スーパー火山の噴火が起これば北米全体が影響を受けるばかりではない。噴火による火山灰が世界全体を覆うことで地球存亡に関わるほどの影響力がある。しかしアメリカ政府の目論んだ南アメリカ緊急避難計画は南アメリカ政府の拒否で実行できそうにない。年間100億ドルと国の文化を秤にかけた南アメリカの決断は賢い選択かもしれない。サンデル教授がいう「お金で買えないもの」がある、ということだ。