1号店にみるスターバックスの原点

Sept. 17, 2014

 

 スターバックスが最も高価な珈琲豆を販売する。店頭でも飲めるがサイズ限定である。また豆売りは1袋250グラム入りで1万円なので、2万円/500gである。ちなみに一杯1万円の珈琲は日本では珍しくない。旧軽井沢のミカド珈琲で貴重な陶器のカップで出してカップはサービスするという。


 その他にも高価な陶磁器カップや純金のカップでだされる高級珈琲はバブル期にはもてはやされた。高額紙幣が飛び交い、純金製のトイレや風呂までが登場した時代であった。スターバックスが今回発売したのはリザーブ製品として、である。リザーブ店舗は数が限定されるが、そこでは明らかに通常のスターバックスと異なる世界が展開する。リザーブ店はこれまでも8,000円/500gの豆は販売していたので、2万円/500gというのは予想できない範囲ではなかった。


 しかし珈琲豆に話を絞ればその上を行く珈琲豆が存在する。豆で最も高価なのはコピ・ルアク(インドネシア語)でジャコウネコの糞から採られる未消化のコーヒー豆である。コピ・ルアクは5万円/500gなのでスターバックスのパナマアウロマールゲイシャ(エチオピア南西部のゲイシャ種という希少な豆でその中でも世界一高価とされるパナマ産)の倍以上になる。


 排泄物を狙われるジャコウネコもイベリコ豚同様に受難であるが遠慮したい人もいるだろう。ちなみに丸山珈琲ではゲイシャ豆は1万円/500gを軽く越える。つまり今回のスターバッックス史上最も高価な豆はゲイシャ豆としては、最上級であるものの飛び抜けて高いわけではないようである。


 スターバックスはリザーブ店舗ですでに高級化していて、最高の基準となるフラッグシップ製品を加えただけのことなのかも知れない。バブル期に育った人間には何となくその感覚は懐かしいものがある。しかしスターバックス1号店にみるスターバックスの原点とはちょっと違うような気がする。


 ブログにもかいたがシアトルのスターバックス1号店はパロアルトのapplestore1号店と並んで、全米各地はもとより世界中から愛好者を引きつける魅力に溢れている。ここではゆったりとソファでくつろげるスペースはない。人々はそれでも店に来て、雰囲気を肌で感じ取って満足して帰っていく。


 スターバックスの1号店にはそれまでのアメリカンコーヒーの概念を覆す、独特の深入りエスプレッソをつくりだした原点が感じられた。店は狭いが店員も何となく誇らしげに働いている。


 スターバックスアニバーサリーブレンドが3,000円/500gで、スターバックスが焙煎するカークランドの豆は1,200円/500gだ。筆者は丸山珈琲のグアテマラ豆は2,430円/500gで充分満足している。それ以上の金額をかけたくないのは大量に消費するからだが、スターバックスには原点に立ち返ってもう少し通常の価格を下げて欲しいと思う。スターバックス1号店の雰囲気は下のギャラリーでおわかりいただけると思う。