ローン・スターの誇り

18.05.2016

Photo: toprightnews

 

テキサス州(ローン・スター ステート)の特殊性はその経緯からくる高い独立精神とカリフォルニア州と並んで全米屈指の広大な土地と産業がその背景にあることは確かだろう。いまではしかし白人の人口は45%でヒスパニック系が38%となった。それでも独立記念日には市民は盛大なパレードで盛り上がる。

 

 

テキサス共和国

「テキサス共和国」として独立していたことを誇りに思う市民が多い。そのときのローン・スター国旗は州旗となっていて学校や店に堂々と星条旗と一緒に掲げられている。南部の州ではいまだに南軍旗を見る機会が多いが、それとは次元が異なる愛着心である。それはどこからくるのだろうか。

 

16世紀にスペイン帝国領地であったテキサスは1921年のメキシコのスペインからの独立に際して、メキシコ領土となった。アメリカ合衆国からの植民たちによって発展したが、メキシコ政府は白人勢力拡大を恐れ1830年に入植を禁止した。そのため1835年にテキサスは反乱を起こし、翌年にテキサス共和国として独立することになった。

 

この年にメキシコ軍は攻め入ってきたがアンアントニオのアラモ砦で壮絶な戦いがあり、守備隊は全滅したが英雄として讃えられた。これが映画でも取り上げられた「アラモの戦い」である。守備隊には多数の英雄がいたがサバイバルナイフ、ボウイナイフで有名なジム・ボウイやテネシー出身のデイビー・クロケットがいた。

 

 

心の中のアラモの砦

テキサスを代表する観光地はサンアントニオである。サンアントニオではアラモ伝道所が博物館として保存されている。また、市内には水路が巡らされていてボートで観光するツアーもあり、路沿いのホテルに宿泊すれば歩いて市内観光もできる。市内の水路沿いは涼しく、夏の観光にお勧めのスポットである。ダラス市内からサンアントニオには車で5時間ぐらいかかり、途中にテキサス州の州都であるオースティンがある。

 

テキサス州で生活してみると他の州が(特に東海岸では)常に合衆国を意識しているが、ここでは州が全てである印象が強いように思える。例えば笑い話で全米はTEXASとNOT TEXASになるなどと平気で言うし、少なくとも何か政府が干渉すれば、「アラモの砦を思い出せ」、”Remember Alamo”、となるから手を出せないよ、といった気骨を誰もが持っているようだ。ここではテンガロンハットとブーツが男子正装であるばかりか、エアラインのCAまで機内で着用しているほどカウボーイ・カウガール精神が根付いている。

 

 

テキサス・レンジャー

当然、銃規制はないから銃砲の所持率も高い。自治意識も高く1823年にインデイアンの襲撃から移住者を守るために組織された民兵組織の名残がテキサス・レンジャーとして今も残っている。メジャーリーグのチーム名ともなったテキサス・レンジャーはれっきとしたテキサス州公安局に属する法執行官である。TVシリーズのローン・レンジャーはテキサス・レンジャーとローン・ステートをかけたものである。なおレンジャーの採用条件は厳しく正装はカウボーイハット、ウエスタン・ジャケット、ワイシャツ・ネクタイだが自前で揃え、バッジだけが支給されるという。

 

 

Source: Texas Ranger Hall of Fame and Museum

 

 ダラスは観光都市ではないが、ダウンタウンのJFKを狙撃したとされる有名な教科書ビルは博物館に、一部地区はオールドタウンとして保存されている。また、空港を共有する隣のフォートワースはストックヤードと呼ばれる地区は西部開拓時代の雰囲気が味わえる場所がある。

 

 JFK暗殺事件はテキサスの汚点だがその犯人についてはオズワルド犯行説は誰も信じるものはなく、911同様に連邦政府が関わっていることが次第に明らかになるとともにテキサスの疑いも晴れていくだろう。むしろここは合衆国政府が暴走するのを止める最後の砦なのである。