自動操縦に成功するメーカーはどこか

Apr. 2, 2015

 

 Autonomous car(自動操縦の車)の開発がさかんである。興味深いのはIT巨大企業がこの分野に参入したことだ。Googleに続いてApple社が自動操縦車に参入するとみられている。またテスラ社も同社の一部モデル(Model S)に自動操縦機能を盛り込むという発表を2014年11月に行なった。


Google

 これらの自動操縦車の実力はどのくらい現実的なのか。調べてみると微妙に各社の考え方が異なり力をいれる機能、つまり特異な分野、が異なっているようだ。Google社はこれまでに5年にわたり試作を繰り返して来たが、基本的に道路上を正確にトレースして走るためのソフト開発に中心を置いている。そのため試作車はあくまでソフト開発のためのプロトタイプで、実際の市販車とは距離がある。


 Googleカーは屋根の上にあるLIDAR(レーザーセンサー)が特徴で、Googleは今後このプロトタイプで、走行許可を取得した北カリフォルニアの公道で有人テストを繰り返し、将来の正式な自動車に組み込まれるソフトとLIDARを開発する予定だ。実際の市販車はパートナー企業と組んで車体を製作し現実的なデザインで登場するとしている。簡単にいうとLIDARで周囲を監視しながら道路をトラッキングする、走行ソフトを優先させている。LIDARはもともと軍事技術で巡航ミサイル用の3Dマップ技術である。LIDARを市販車に取り付けて、道路と周辺状況を解析しソフト開発中心である。


Apple

 一方、Apple社は2015年2月14日に自動操縦車の販売に参入する発表を行なった。それによるとGoogleとは異なり、自動車の専門家を会社に取り込み製作するメーカーと接触し、「タイタン」というコードネームで車全体を手がけるという。Google同様に車のハードから遠い存在のAppleが開発できるのは、ソフトウエアまでだろうから、車の装備の開発や車体を新規の開発費をどうするのか。Apple Watchで一足早く高級腕時計の世界に足を踏み入れたAppleだが、こちらはスイスの高級腕時計メーカーから幹部を引き抜いた。同じ手法で挑むものの、車の製作は比較にならない部品点数で、本格的な参入のリスクは決して低くない。


TESLA

 IT企業がソフト優先にみえるが、テスラ社はスペースX社で成功したような製造部門に強い。理由は優秀なエンジニアを社内に抱えるからだが、EV車では航続距離を始め高性能の市販車を有しているので、走行ソフトとセンサ類の開発ができたら、組み込んで市販することは容易だろう。ただしCEOのイーロンマスクは完全な自動操縦ではなく、安全のためだという独特の思想を持つ。


 スペースX社のロケット、ファルコン9は使い捨てでなく垂直に回収パッドに帰還して逆噴射で着陸する。このための自動操縦技術は難度が高くまだ成功していないが、惜しいところまで来ていて成功も遠くない。イーロンマスクのはしかし自動操縦を車の駐車に限定するなど、限定してユーザーに開放するという。本格的な自動運転にはまだリスクが大きいという判断だ。


Scania

 本格的な自動操縦は自動車メーカーが開発中である。スキャニア社がトラックフリートを等間隔で自動操縦運転させれば、スリップストリーム燃費を向上させるとしてトラック用の自動操縦技術を開発している。


Mercedes-Benz

 一方、車の歴史の原点から常に新技術で世界中の流れを先導してきたメルセデスベンツ社は自動操縦機能は基本的に完成しており、100kmの実験走行にも成功したとしている。さらに自動操縦を前提とする「F 015 Luxury in Motion」を自動車ショーより早く国際家電見本市(CES2015)でお披露目した。この車には運転席はない。4座対面シートがあり乗客はくつろいで何もしないでよい。F 015はコンセプトカーであるが、その技術要素は開発は相当進んでいるとみられる。

 

 


 

 というのも市販車に組み込まれた「インテリジェントドライブ」の完成度が極めて高いからだ。例えばマジックボデイコントロールは前方の段差など道路状況を検知し車が通過する際にその衝撃を和らげるサスペンション制御を行なう。またレーンコントロールや360度にわたるTVカメラモニタリング、斜め後方から接近する車の検知、ナイトビュー、交差点の監視、自動パーキングなど。自動操縦にはこれらのセンサ、アシスト機能が駆使される。ようやく車の作り方が、「性能、価格、デザイン」から「快適性、環境性能、安全性」にシフトしつつあることは確かである。

 

 正確な道路走行にはGPS機能を使うとしても、自動操縦で最も困難な点は天候急変、道路横断者、道路工事、車の接近、など多くの予想できない事象に遭遇するために、それらについての適切な判断を瞬時に行なわなければならないことである。宿敵アウデイも米国で長距離テストに成功、トヨタ、ニッサンも開発中であるこの技術をいったいどのメーカーが最初に市販するのだろうか。