記録的な極寒に見舞われる2016年の北半球

15.11.2016

Photo: propanebuzz

 

2016年の異常気象の多くはエルニーニョ現象によって説明されるが、それが11月にピークに達する。これによって極地上空の酷寒の空気がジェット気流で南に流れ込む時期が例年より早まるため、北米の降雪時期が早まり豪雪に見舞われると予測されている。

 

NOAA発表の2016年冬のCFS(Climate Focasting System)モデルでからのずれ(下図)はモデル予測から大きく外れて冷え込むことがはっきりわかる。またこの様子は11月にピークを迎えるエルニーニョ現象と同期していることもわかる。

 

 

Credit: NOAA

 

北米地域が記録的な酷寒を迎える一方で局所的に気温のばらつきが現れることになるが、北米地域が12月に終わるエルニーニョ現象の強い影響で異常寒波に見舞われることに変わりはない。しかし背景には太陽活動の長周期の減衰による輻射熱の減少がある。最近ミニ氷河期の予測が早まり2015年からミニ氷河期に入るとする報告も現れている。太陽熱の減少とジェット気流の影響がそれに重なって寒冷化の傾向が増幅されることになった。

 

欧州も寒気で北欧地域は酷寒に襲われる。ストックホルムの降雪は66日、モスクワは100日を超える。一方、欧州を寒波に伴う猛烈な吹雪が西から東に移動し、地中海沿岸を除いて2016年の冬は酷寒に襲われる。特にフランス中部とスペイン北部の悪天候に襲われる。

 

 

2015/2016海面温度のマップ(下図)によれば赤道直下のエルニーニョ暖流による海面温度の高い領域と対照的に北太平洋には冷たい海水の塊が出現し暖流と接している。この冷たい塊(ブロブ)とエルニーニョ暖流の存在は北米地域の降雪量の多い厳しい冬となる予兆と考えられる。

 

 

 

NOAAによればエルニーニョ現象のピークは11月でもその影響は207年に入っても続くとしている。また今回のエルニーニョ現象過去最大規模で北米東海岸を襲った1997-98年の大寒波に迫る規模になる。北米大寒波の影響でミニ氷河期を実感することになるかもしれない。