北朝鮮の核攻撃リスクへの警告

04.04.2017

Photo: thehill.com

 

 韓国に脱北した北朝鮮外交官太永浩(テ・ヨンホ)氏は3日、米テレビNBC Newsで北朝鮮情勢についてのインタビューを行った。北朝鮮の「必死」な独裁者金正恩(キム・ジョンウン)氏は米国と同盟国に向けて核兵器を使う準備をしていると述べ、緊迫している北朝鮮情勢に対して米国と同盟国はこの脅威に対応する準備が必要と警告を発した。

 

 

進捗が著しい北朝鮮のミサイル開発

 北朝鮮のミサイル開発・配備はロシアの近距離弾道ミサイルの改良に始まったが、4種の中距離弾ミサイルの実戦配備を終え、現在は米国東海岸とロシア、中国、東欧と中東の大部分が射程に入る大陸間弾道ミサイルの開発が急ピッチで進んでいる。また脅威となる核弾道の小型化にも成功したと見られ核兵器を搭載した大陸間弾道ミサイルの実戦配備も間近とみられている。それでも米国の軍事分析には北朝鮮が大陸間弾道ミサイルの弾頭大気圏再突入の技術を有していないとする見方もあるが、再突入を含めた次回の実験で見通しが立てばいよいよ実戦配備となる。

 

 このため実験が近いとされる核実験や大陸間弾道ミサイルの実戦配備の前に米軍が北朝鮮を戦術空爆して、核ミサイル配備を阻止しようとすることは十分予想される。しかし米軍にとって頭が痛いのは大陸間弾道ミサイルを本国に着弾する前に撃ち落とす迎撃の問題だけではない。北朝鮮が固形燃料の移動式中距離弾道ミサイルを陸上と潜水艦から発射できるようになったことで、北朝鮮はフイリピン、沖縄と日本にある米軍基地が攻撃できるようになった。発射場所を特定できないまま、太平洋に展開した米軍の攻撃力を失いかねない。日本がSM3とPC3のミサイル防衛網の見直しを迫られたこともこのためである。

 

 

北朝鮮外交官の警告

 2016年7月に亡命するまで駐英北朝鮮大使館公使を務め、大使に続く大使館で序例2位であった太永浩氏は、1997年に韓国に亡命した横長ヨプ(ファン・ジョンヨプ)以来の最高位級の政府高官である。北朝鮮の核開発に直接関わってこなかった同氏だが、大陸間弾道ミサイルの開発が重大なレベルまで達していると指摘している。

 

 太永浩氏によると、金正恩氏は米国が差し追った脅威と確信すれば、核弾道を搭載した大陸間弾道ミサイル(ICBM)を使うとし、「金正恩氏は想像外のことをやる人である、北朝鮮の核問題を解決する最終的且つ現実的な方法は金正恩氏を失脚させることである」と述べた。

 

 

高まる核攻撃リスク

 2012年に北朝鮮の最高指導者となった金正恩氏は、米国全土を射程に置く核弾道ミサイルの開発に力を入れてきた。これまで北朝鮮が行った5回の核実験のうち、3回は金正恩氏が行ってきた。核開発への執着は、太永浩氏によると、自国の核開発を止めたことでイラクのサダム・フセインとリビアのムアンマル・アル・カッザーフィーの政権は米欧によって転覆されたことを脅威に思っているとし、同じことが起きることを恐れている。「金正恩氏は指導者として続けるには、核兵器を持つことがその保障となると強く考えている」と話した。