史上最長の強気相場の終焉

13.30.2020

 

  米国の主要3株価指数は2月19日に、史上最高値を記録した。それからわずか13取引日後には、史上最高値からS&P総合500指数は約19%、ダウ平均株価は18.7%、ナスダック総合指数は19.2%と大幅な下げ幅を記録した。10日には一時上昇したが、11日に再び大幅反落、史上最も短期間で強気相場から弱気相場に後退した。

 株価指数が最高値から20%以上下落すると強気相場から弱気相場に後退したことになる。株価がいったん20%下落すると、その水準を維持することが難しくなり、下落傾向に働く。

 S&P総合500指数が最高値から20%下落するまで要した期間は、1929年の世界大恐慌には42日間、1987年のブラックマンデーには55日間、1990年には87日間かかったのに対し、今回は最短の15日間であった。それほど急速に強気相場から弱気相場に転換したのである。

 米国では1946年以降、弱気相場への後退が起きたのは12回。弱気相場は平均14.5カ月続き、高値から底値までの下落率は最大で57%、平均32.5%であった。近年では、2007年10月から2009年3月まで続いた景気後退・弱気相場では下落率は57%で、回復まで4年を要した。

 11年間続いた史上最長の強気相場でダウ平均株価の時価総額は約20兆ドル押し上げ、史上最大のバブル市場となった。今回の強気相場は、連邦準備制度理事会(FRB)の金融緩和政策による相場上昇として経済史に残ることになる。2008年のリーマンショックを機に始めた量的緩和政策、金利の引き下げ、短期資金調達市場への資金供給など市場の声に応え続けてきた。FRBはあらゆる市場混乱から投資家を守ってきたのである。

 今回の株式暴落は、FRBが従来型の金融政策では新型コロナウイルスが引き起こす供給問題だけでなく需給問題で、市場や経済の動向を変え、世界的なリセッションを阻止することが困難であると市場が受け止めたことになる。

 

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