金ナノ粒子による新しいCRISPR遺伝子編集

12.10.2017

Photo: digitaljournal

 

カリフォルニア大学と東京大学の研究グループがウイルスによる輸送を必要としないCRISPR遺伝子編集技術を開発した(Lee et al, Nature Biomedical Engineering online Oct. 02, 2017。新しい手法では金ナノ粒子に配位するようにしたDNAとCas9蛋白、ガイドRNAを高分子で覆い、輸送過程であるエンドシトシスに利用する。

 

CRISPR遺伝子編集の手順は従来と同じで、Cas9蛋白がターゲットDNA鎖を切断、ガイドRNAがDNAの変位を受けた場所(接続場所)を指定してDNAが挿入される。実験では筋ジストロフイーを引き起こす遺伝子変位がない遺伝子がこの手法で作成された。

 

Credit: engineering.berkeley.edu

 

このCRISPR遺伝子編集手法には、まだ遺伝子欠陥の筋肉疾患に対応するための大量の金ナノ粒子を血液中に投入できないため、局所的な遺伝子編集にしか使えないという問題があるが、輸送手順にウイルスの関与なしに広範囲の細胞にCas9とドナーDNAを供給できる特徴で、CRISPR遺伝子の高度化につながると期待されている。