脊椎からヒントを得たフレキシブルLiイオンバッテリー

01.02.2018

Photo: iecetech.org

 

PCからタブレット、そしてスマホへと人々の関心は、小型で身につけるデバイスへ移ってきた。究極の進化系である身につけることができるデバイスにはデイスプレイやLiイオンバッテリーがフレキシブルである必要がある。

 

コロンビア大学工学部の研究チームはこのほど人体の脊髄にヒントを得て、フレキシブルLiイオンバッテリーを開発した(Qian et al., Advanced Science on line Jan. 31, 2018)。これによってエネルギー密度の高いフレキシブルバッテリーでウエアラブルデバイスの普及が加速すると期待されている。

 

人体の脊髄はそれ自身では変形しない椎体が積み重なり、柔らかい骨髄で繋がれているために全体が折れ曲がる。開発チームはこれにヒントを得て椎体に見立てたLiイオンバッテリーを脊髄に相当する柔らかい電極で接続するタンデム構造のLiイオンバッテリーを開発した。

 

 

Credit: Columbia University

 

電極部を差し引いても全体の85%をLiイオンバッテリーに当てることができるため、フレキシブルといってもエネルギー密度のバッテリーとなる。このフレキシブルバッテリーは90度まで折り曲げることができるため、腕に巻きつける時計型のデバイスのバッテリーや繊維素材にデバイスを仕込んだ衣類など本格的なウエラブルデバイスの駆動電源となる。

 

フレキシブルLiイオンバッテリーによって、本格的なウエアラブルデバイスの普及が見込まれる。タブレットやスマホの販売が落ち込んでいる一方で、フレキシブル画面の実用化で情報端末として次の展開が期待される。人体にRFデバイスを埋め込む試験的な運用も始まっているが、安全な持ち歩ける高度情報端末となるウエアラブルデバイスはフレキシブルLiイオンバッテリーの登場で普及が加速される。