新型触媒で燃料電池製造コストが1/100に

24.01.2018

Credit: BEXIM (CC BY 4.0)

 

いつの間にという印象だが、北米でトヨタのFCVが3,000台販売されたという。FCV用以外にも燃料電池はエネルギー貯蔵のための切り札として世界中で研究開発が加速している。燃料電池普及のネックのひとつは貴金属を使用する触媒コストであった。

 

カリフォルニア大学リバーサイド校の研究チームは水素を燃料とした高分子電解質膜燃料電池(PEMFC)の貴金属フリー触媒を開発した。白金書屋バイト同等の性能でありながら製造コストが1/100になる新型触媒の登場でFCVや蓄電・発電デバイスの本格的な普及が加速すると期待されている(Tang et al., Small online Jan. 22, 2018)。

 

水素は負極上でプロトンとなり電解質膜を透過し正極で酸素と反応して水分子が生成される。つまり水素を燃料とする燃料電池は水の電気分解の逆反応である(下図)。触媒金属としての白金は反応効率が高い反面、製造コストが普及を妨げているため、貴金属を使用しない触媒開発が最重要研究課題となっていた。

 

 

Credit: degruyter.com

 

研究チームはコバルト、鉄、ニッケルなどの金属イオンを炭素ナノ繊維の薄膜に含ませ、熱処理によってグラファイト化した炭素膜に保持した金属ナノ粒子触媒とした。グラファイト化しなかった炭素は酸化すればポーラス性の高い網状の炭素に金属酸化物ナノ粒子が分散された貴金属フリー触媒が形成されることを見出した。

 

これによって性能は白金触媒と同等の貴金属フリー触媒の製造コストが1/100にな流とともに、炭素系材料を使用するため燃料電池の軽量化にも役立つ。新型燃料電池はFCVの本格的な普及に役立つと期待されている。

 

 

Credit: Small