ワン・プラネット・サミットはエネルギー・セクターのビルダーバーグか

13.12.2017

Photo: courrierinternational

 

新首相の元で環境対策に熱心なパリ議定書の議長国であるフランスは、12月12日から、再びパリで気候変動の対策を議題とするワン・プラネット・サミットを開催している。会議では化石燃料から脱却したグリーンエネルギー化のために、国境を超えて取り組もうという趣旨の元で、分野ごとに対策が協議された。

 

石油・ガス

世界銀行は融資事業の2%に当たる石油と天然ガスの新規開拓事業を終始することを決めた。また来年度から温室効果ガス関連の支援について年次報告書を作成しアセスメントを進めるとしている。

 

石炭

フランス保険大手のAxa社は石炭採掘工場の建設事業への投資を停止するとともに、25億EU相当の融資資金を石炭事業から回収する。また同社はオイルサンドパイプライン整備プロジェクトへの融資7億EUも回収し、9億EUを2020年までにグリーンエネルギー化のインフラ整備に投資することを決めた。

 

エネルギー関連投資

HSBCやCalPERSなど大手投資会社200社以上が世界の温室効果ガス排出上位100社に排出量を提言するよう圧力をかける。BPやシェブロンなど石油大手、エアバス、フォードなど輸送部門大手会社、ArcelorMittal、BHP、Glencoreなど掘削会社を対象とした「気候変動行動100+」イニシャテイブが採択された。

 

グリーンエネルギー化支援

フランス開発庁はナイジェリア、チュニジアなどアフリカの開発途上国の気候変動対策を支援する。今後4年間で15カ国に3千万EUが予定されている。

 

農業

ビルゲイツ財団と欧州議会は6億ドルを気候変動対策のための農業研究に融資を決めた。ビルゲイツ財団は3.15億ドルをアフリカの低所得層農民支援に、また欧州議会が3.18億ドルを援助する。

 

ワン・プラネット・サミットの正式名称は”Climate Finance Day”である。気候変動に対する経済政策を世界規模で議論し、アクションプランを策定しようとするもので、地球温暖化説の先導する国連環境部門が後ろ盾となっている。

 

気候変動対策に消極的な米国に代わりフランスは欧州の先進性を訴えて、世界のリーダーシップを取ろうと画策している。今回の会合は経済援助を世界各国の財団から取り付けるのが狙いである。しかしビルゲイツ財団が援助するとしたアフリカの低所得層農民が温室効果ガス排出量に寄与は微々たるもの。したがって経済援助の必要性は低く、むしろフランスが(欧州議会と)世界のリーダーシップを取ることをアピールするとともに、グリーンエネルギー化という新産業への経済援助で欧州経済を活性化しようという狙いがみてとれる。