全米に広がるインフルエンザの脅威

15.02.2018

Photo: patch.com

 

 米国で今シーズンに猛威をふるっているインフルエンザは過去最多の感染者をだしている。米疫病対策センター(CDC)によると、インフルエンザの追跡調査を開始して以来の大流行となっており、一週間に約4,000人、全米死亡者の10人に1人がインフルエンザと肺炎で亡くなる勢いで深刻化している。

 

 2009~2010年に出現した新型インフルエンザのH1N1(豚インフルエンザ)は世界60カ国、30万人の死者をだす世界的パンデミックとなった。米国では6,000万人の感染者と12,469人の死者をだした。今シーズンのインフルエンザはこれを大幅に上回る5万人以上の死者となる勢いをみせている。

 

 インフルエンザが拡大している理由として、当初に流行していたA型に加えてB型(H3N2, H1N1の 2 種類のB型インフルエンザ)が流行し始めたこと、アラスカ州とハワイ州を除いく全州で同時に流行していることがあげられる。例年では、1月中旬からインフルエンザ感染のピークを迎え、感染者数が減少する傾向に向かうはずが、未だにピークが見えない状況で、感染者数が増加していることにCDCは警告を発している。

 

 

 

新型ウイルスの出現の可能性

 1月に開催されたダボス会議2018年では、感染症専門家たちはスペイン風邪のようなパンデミックが世界的に流行することは避けられない、現実の脅威となりつつあり、それを止める手だてはないと警鐘を鳴らした。

 

 今年は1918年に発生した史上最悪のスペイン風邪から100年となる。スペイン風邪は当初アメリカで流行したが、その年の秋には変異し、より強力な感染力で世界にパンデミックを引き起こした。第1次世界大戦時に米国から欧州に渡った兵士たちによって運ばれたとされるウイルスが感染を広げた。世界で約5000万人以上の死者をだした。2年間続いたスペイン風邪による死者数は4年間に及んだ大戦より多いとされている。

 

 

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