テスラEVモデル3生産遅れで第三四半期に6.7億ドル損失

02.11.2017

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 量産車メーカーの洗礼を受けたテスラEVの誤算が鮮明になった。7-9月の第三四半期の損失は13.70ドルで、昨年同時期と明暗を分ける結果になった。同社初の量産車モデル3の生産遅れが足を引っ張ることになった。

 

 フラッグシップとなるセダン、モデルSSUVのモデルXの販売台数自体は25,915台と4.5%の伸びを示しているが、販売価格が35,000ドルからという量産車モデル3の生産遅れが投資家の判断材料となった。

 

 テスラ社CEOのイーロン・マスク氏はモデル3の潜在購買者(ネット注文)数は500,000人だと主張するが、第三四半期の生産台数は当初計画の1,500台に対して260台であった。さらにネヴァダ州にパナソニックと共同出資で建設中のバッッテリー工場(ギガファクトリー)の遅れで、12月いっぱいまでに予定していた20,000台の生産が、次の第一四半期にずれ込むこととなった。

 

 テスラ社の四半期売り上げはアナリストの見込みどおりで29億ドルと30%の伸びを示し、テスラ社は余剰バッテリーでエネルギー貯蔵分野を昨年の倍に拡大するとしていた。

 

 しかし今年初めから45%の伸びを記録した株価が112日に321.08ドルと3%下落したことで、6.7ドルの損失を計上することになった。モデル3の生産遅れに解決策がなければテスラ社は重大な経営危機を迎えることになる。ニッチ車メーカーから量産車メーカーへの転身は簡単ではない。11月2日にパナソニックは生産遅れの原因がギガファクトリーのバッテリー自動生産ラインにあり問題解決が可能であることを示唆して、株価は盛り返した。

 

 もともとハイエンドのモデルSの高性能は7,000個のパナソニック電池を最適化するマルチセル技術であったが、さすがに量産車にはそのままでは使えないので、セル数を減らして一個一個の電気容量を増やしたため、独自スペックのセルを製造する羽目になった。そのためもともとのサイズに合わせて自動化できていた生産ラインの改良が必要になったのだが、それが時間がかかっている、というのがイーロン・マスクのいう「ボトルネック」なのだろう。

 

 モデル3の生産遅れをギガファクトリー生産ラインの遅れとしてパナソニックが責任を負う形となったが、別の理由があるとする見方もある。生産ピッチが取り戻せたかどうかは、次の第一四半期に結果がでるので、テスラ社の量産体制に問題があったかどうかは、その時にはっきりする。

 

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