カリフォニア州山火事で甚大な経済損失

14.10.2017

Photo: mobilaris

 

 カリフォルニア州北部で8日に発生した山火事は、これまでに31人(12日時点)が死亡し、460人が行方不明となっている。ワインの産地で知られるナパ群やソノマ群、ユバ群、メンドシーノ群などで、現在も40カ所で山火事が続いており、火の勢いは衰えを見せていない。鎮火の見通しが立たないため、アメリカ史上最大の山火事となる可能性が高い。

 

ディアブロ・ウィンドで山火事広がる

 今回の大規模な山火事が発生した原因は、ディアブロ・ウィンド(Diablo winds)と呼ばれる強風である。高気圧による風がシエラネバダ山を超え、カリフォルニア北部に吹き降りる乾燥した強風である。今回、湿度が10%以下まで下がったナパ群やソノマ群では一時風速96キロの風が観測されている。週末には低い湿度と強風で、山火事はさらに広がると予想されている。

 

危機的状況にあるカリフォルニアワイン

 アメリカはイタリア、フランス、スペインに続き、世界第4位のワイン生産国である。そうして、カリフォルニア産は全米の85%のワイン生産量を占めている。山火事が発生しているナパ群とソノマ群はカリフォニア州のワイン全体の13%を占め、多くは品質の高いハイエンド「ブティック・ワイナリー」である。650に上るワイナリーのうち、少なくとも20のワイナリーではぶどう畑と貯蔵施設が全焼する被害が出ている。カリフォルニア州を横断する2大ハイウエイ、101とI80に囲まれたこの地域(下図)は、温暖な気候で知られ、フェアモント市とサンタローザ市郊外には住宅が密集する。

 

Credit: latimes

 

ワイン市場に深刻な打撃

 ぶどう畑が全焼を逃れても、山火事からの煙でぶどうへの汚染は酷く、収穫されたぶどうで生産されたワインには灰の味が残るとされ、本来の高い品質のワインとして販売できない状態となる。ほとんどのワイナリーが被害を受けることになる。ナパ群のワイン巡りには観光客も多く、ワイン好きの人にとってはアメリカで訪れたい憧れの場所の一つである。山火事でワインと観光産業も全滅、地域経済が復活するまでには、今後数年かかるとされる。

 

 山火事による被害は、鎮火しない限りはっきりと分からない状況である。しかし、北部のサンフランシスコでは、すでに煙により空気汚染は「非常に健康に悪い」「危険」レベルまで達していると、サンフランシスコ湾周辺地域の空気汚染管理局が報告、市民による呼吸系被害が増加している。学校やサンフランシスコ国際空港など閉鎖されている。加えて、水の汚染も深刻化している。

 

 

 世界第2位のワイン生産国のフランスでは、寒波のため2017年のワイン生産量は前年度比で17%、1945年以来の深刻な低水準に落ち込むとフランス農業省は発表している。特に高い品質で知られているボルドー(Bordeax)産地では被害が大きく、40%もの減産となる見込みである。カリフォニア産ワインの生産減で世界的にワイン価格が高騰するのは避けられない事態にある。