環境汚染物質ペルフルオロオクタン酸(PFOA)除去技術

09.06.2017

Credit:  J.A.C.S. 

 

ペルフルオロオクタン酸(PFOA)ときいてピンと来る人は相当、環境汚染に詳しい人だ。ペルフルオロオクタン酸は直鎖のカルボン酸だが水素の代わりにフッ素が直鎖の炭素に結合している。添加物、界面活性剤として使用されていたが2,000年に生物体内に高濃度のペルフルオロオクタン酸が検出されて製造中止メーカーもある中で、デュポン社が製造を継続し批判されている。

 

昨年、飲料水中のペルフルオロオクタン酸濃度が高く健康被害を及ぼす危険性があるとして米国の自治体が水道サービスの停止に追い込まれた。ペルフルオロオクタン酸はこれまでテフロン樹脂製造に使われ、世界中の環境汚染物質として注目されている。

 

 

ノースウエスタン大学の研究グループは飲料水からペルフルオロオクタン酸を除去する技術を開発した。この技術によって水に溶けているペルフルオロオクタン酸濃度を10ppt(1000分の1ppb)にまで下げることが可能になった。研究グループはペルフルオロオクタン酸を取り込むサイトを有する高分子で、ほぼ完全に除去することに成功した(L. Xiao et al.,  J.A.C.S. online May 30, 2017) 。

 

 

Credit: cyclopure

 

この手法で同様に環境汚染物質となるペルフルオロスルホン酸(PFOS)を除去することも可能になると考えられている。研究グループの一人はスピンオフ企業(CycloPure)を立ち上げ、この高分子材料(ベータサイクロデキストリン)が市販されることとなった。シクロデキストリンは数分子のD-グルコースが、α-1,4グリコシド結合によって結合し環状構造をとった環状オリゴ糖の一種である。