太古からの気候変動で予測する降雨帯の北上

04.06.2017

Credit: Science Direct

 

トランプ大統領が離脱を宣言したパリ協定がCO2排出規制に取り組む根拠は、地球温暖化に限定した「気候変動」である。その地球温暖化には懐疑的な意見が多い仮説にすぎないが、仮定にしてもその影響による降雨地域の変動はこれまで取り上げられる機会が少なかった。

 

コロンビア大学とメイン大学の研究グループは過去の降雨分布を調べ、将来の変化を予測した結果、地球表面温度が上昇すると陸地が多く(都市部も多い)北半球が海洋の多い南半球より余計に熱量を溜め込み、水蒸気を排出することで降雨量が増える場合があることを示した(Science Direct, 3 5 e1600871 (2017))。

 

 

研究グループは地球各地の湖底、石筍や氷注から古い気象データを推測しそれらを整理して、地球表面温度が上昇した場合の降雨分布を予測した。その結果をふまえて地球表面温度上昇の影響を3つのケースに分けて検討した。①ひとつは熱帯地域の降雨が増大して亜熱帯以北の地域が乾燥するシナリオ。②次に北半球の陸地が多いことで起こる降雨帯が北上するもの。③3つめのシナリオはこれらのシナリオが同時に起こる複合型。

 

過去の気候データから最後の氷河期ピーク時には中緯度地域の降水量が多く、約1.2万年前の大規模な気候変動(注1)を経て、最近の小氷河期(注2)で降雨帯は南下した。表面温度の分布が比較的均一な場合には冷夏となり、冬が酷寒の時には降雨帯と乾燥地域は北上する傾向にある。

 

(注1)11,800~12,000年前のボーレン、アレレード温暖期に挟まれた短い寒冷期。

(注2)1,250-1,850年の(Little Ice Ageと呼ばれる)小氷河期

 

 

Credit: Science Direct

 

今回の研究で地球表面温度の上昇で降雨変化は一様ではなく季節依存度が大きいことが明らかになった。米国物理学会は地球温暖化説を支持しているが、地表温度のデータに任意性がみられ、温室効果による温度上昇の根拠にも疑念が持たれている。この研究で気温上昇を仮定したときの降雨分布の変化は季節の依存性が大きいことが明らかになった。少なくとも地球温暖化で特定地域のみが年間を通じて降雨量が増えることはないことになる。