ロンドンがテロ厳戒態勢に

16.09.2017

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 英国政府は9月15日のロンドンの地下鉄爆弾テロで29人が負傷した事件を重く見て厳戒態勢を最大レベルに引き上げた。メイ首相はテロ活動が継続する恐れがあるとして15日、一般国民がたちらない最重要地域では(警察の代わりに)軍隊が警戒に当たる厳戒態勢を宣言した。

 

 メイ首相は交通機関の警備に当たる警察官を増員されることも国民に了解を求めた。パーソンズ・グリーン駅での爆発について当局は爆弾テロであることを認めた。目撃者の話では爆弾は手製で爆発力は小さかったが、火の手が周囲に回ったため火傷で負傷する乗客の他に、逃げ惑う乗客に踏みつけられた負傷者も多かった。

 

 警察当局は監視カメラで容疑者を特定して行方を追っている。今回の爆弾テロを、ISも犯行を認めている。メイ首相はテロ当日に安全保障会議に臨み警戒レベルを引き上げた背景には、同様なテロが連鎖的に英国内で起きるリスクが高いことがある。

 

 

Credit: nbcnews 

 

 

 一方、パリ中心部の地下鉄(シャトレ駅)でも9月15日、警戒していた兵士に刃物で襲いかかった男がテロ現行犯容疑で逮捕されている。実行犯は拘束された。フランス検察当局は対テロ部門を投入し、テロ未遂事件として捜査を開始した。頻発するテロでロンドンとパリの欧州を代表する2都市は軍隊の投入となった。

 

 テロ警戒を理由に軍隊が警備することは事実上の戒厳令であるが、それこそテロリストの思惑である。テロリズムの最大の目的は一般市民に恐怖を植え付け、戒厳令や警備強化で安全な市民生活を奪い、政府への信頼を失墜させて政府転覆をし易くすることである。新興国ではそのシナリオで軍事政権が誕生しては内乱が起きた。一方では監視社会が強化されるきっかけになっている。テロリズムの先にあるリスクは想像以上に大きい。

 

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