Credit: NASA
北朝鮮の弾道ミサイル発射と6回目の地下核実験を受けて、米国と中国は北朝鮮の核兵器の小型化と弾道ミサイルへの装備に対して中国が国境を越えて9月11日までに北朝鮮に侵攻する可能性を協議しているとの情報がある。
米国防情報局(DIA)の北朝鮮関連の情報を扱う専門部局の高官(注1)によれば、米中は北朝鮮の弾道ミサイルが核兵器を搭載したかどうかの評価を急いでおり、弾道ミサイルの核装備が確認されたのち、中国が国境を越えて北朝鮮へ侵攻する計画を両国が合意する可能性がある。
(注1)情報源は明らかにされていない。DIA情報はトランプ大統領に伝えられる情報の25%を占めている。
北朝鮮はすでに小型化された熱核兵器(水爆)の写真を公開し、弾道ミサイル搭載型であるとしている。中国が北朝鮮の弾道ミサイルの核装備を認めない点で両国の利害は一致している。中国は写真の熱核兵器が本物であることを確認した場合には中朝国境を越えて侵攻することになる。突飛なシナリオだが、中国と米国の利害関係に相反しない、人的被害を最小限に抑えた現実的な解となる。
韓国国防大臣は北朝鮮が弾道ミサイルの最大弾頭重量500kg以下の核兵器を開発済みであることを認めている。米国は国連安全保障理事会で北朝鮮への制裁強化を訴える一方で、中国は6回目の核実験後に北朝鮮大使を通じて北朝鮮への強く抗議したことで、中国と北朝鮮の間にも緊張が高まっている。
中国科学技術大学の地震研究グループの発表では、6回目の核実験の規模は108.3±48.1 キロトンで、水爆下限とされる100キロトンを超えていることから、水爆である可能性は極めて高い。
米国が北朝鮮への戦略攻撃を行えば朝鮮半島の大部分の壊滅的な破壊が免れない。中国は北朝鮮の豊富な資源獲得の観点からその事態を避けたい。2015年度の中国の輸入した石炭は10億ドル、鉄鉱石は7,300万ドル、亜鉛は68万ドルに相当する。
中国の侵攻で北朝鮮を制圧した後、両国は第2次大戦後のドイツや最近ではシリアのような分割統治を検討しているという。韓国が中国の侵攻で結果的に米国との距離が離れれば、軍事面で東アジアの米国の脅威がへることになり中国にとっては好都合である。
北朝鮮は今回の核実験で小型熱核兵器(水爆)の開発に成功したと考えられる。次の一手は搭載される弾道ミサイルの最終試験となる可能性が高い。このことで全面戦争リスクは回避されたが、(米中の協議が事実ならば)中国の侵攻シナリオの可能性は逆に高まった。