過小評価されていた仮想通貨マイニングのエネルギー消費

06.11.2018

Photo: Reuters

 

現在流通している数100種類の仮想通貨のマイニング作業で、世界中で膨大な数のサーバーが、24時間体制で稼働している。ケンブリッジ大学の研究によると、ビットコインなどの仮想通貨のマイニングには、金採掘のの3倍のエネルギーを消費することがわかり、従来の推定(金採掘の1/20)過小評価であることがわかった。

 

マイニングには膨大な計算能力が必要になるため、マイニングビジネスはひとつの国全体よりも多くのエネルギーを消費している全く新しい産業となっている。しかし仮想通貨マイニングの代償として利益が得られるが、環境(エネルギー)コストはこれまで話題になることはなかった。

 

デンマークは2015年に314億キロワット時の電力を消費しているが、今年の7月1日現在、ビットコインのマイニングは約301億キロワット時を要した。2018年のビットコインのマイニングが消費するエネルギーはデンマークよりも多いのである。

 

マイニングでは、最初に計算を完了し、取引が確認され、通貨の共有公帳(「ブロックチェーン」に入力した人に代償が支払われる。仮想通貨のマイニングには、数千台から数万台の計算機が連携して、インターネットを検索し計算を実行する必要がある。大規模サーバーを抱えるデータセンターの電力使用は計算機消費電力と冷却電力が課題となっている。

 

トップ100の仮想通貨の市場価値が約2,000億ドル(1,750億ユーロ)でビットコインはその金額の半分以上を占めている。

 

今回の研究では30カ月間にわたって、ビットコイン、イーサリアム、ライトコイン、およびモネロの4大仮想通貨を1USドルで作成するために消費された平均エネルギーを計算した結果、エネルギーコストは、それぞれ17、7、7、14メガジュール(MJ)であった。

 

これは金、プラチナ、銅を発掘するのに必要なエネルギーの最大3倍で、1USドル当たり122MJ消費するアルミニウムのみが、より多くのエネルギーを消費していた。

 

仮想通貨の環境コストの完全な計算には、マイニングに使用された計算機資源を考慮に入れなくてはならないので、仮想通貨の維持に必要なコストはエネルギー以外に計算機資源を含めなくてはならない。さらにマイニングを実行する有志ユーザーの労働コストを含めれば、銀行が不要になったとしても、仮想通貨流通のグローバルシステムにかかるコストは膨らむことになる。少なくともデジタルは安い、というLINE通話のような話にはならない。

 

毎年873億ドル(約9.8兆円)以上が金鉱採掘に費やされているが、ビットコインマイニングには推定43億ドル(約4800億円)未満のコスト(1/20)しか必要とされていないとした記事を真っ向から否定する今回の結果は波紋を呼びそうだ。