深海設置型洋上風力発電の将来性

22,10.2018

Photo: rechargenews

 

海岸線に沿って立ち並ぶ風力タービンは世界中の国々で珍しい存在ではなくなった。加えて沖合の強力な海風を利用する海上浮動プラットフォームは大規模な風力発電パークに、発展しクリーンエネルギーの主要ソースとして確立しようとしている。

 

海底に固定されたオフショア風力タービンは、海底面深度の制約を受け、比較的浅い沿岸域でのみ使用できる。これに対し浮動式海洋プラットフォームは、ほとんどの海洋環境に建設され設置できる可能性がある。海洋生物にとってより環境にやさしく建設コストの安い風力発電の潜在的な発電能力は高いが、沖合の深海部への設置で発電能力が数倍高まる。

 

洋上風力発電施工企業、Principle Power, Inc.のウインドフロート(WindFloat)プロジェクトは欧州投資銀行から6,000万ユーロの融資を受けて沖合に移動して、より強い海風による安定な発電を計画している。2017年の調査によると、一部の海域の風力発電は、陸上設置のタービンの発電能力を3倍以上にすることができる。

 

しかし、この技術は浮動式海洋プラットフォームで安全に稼働するように設計する必要があり現在試験段階にある。3列の半潜水式プラットフォームには8.4MWのタービンが搭載され、深度85~95メートルの海域に浮かぶ計画である(下図)。

 

 

Credit:  timehd.net   

 

一方、イングランド北東部に拠点を置く企業Ocean Flow Energy Ltd.は、オフショアの石油・ガス生産プラットホームシステムに基づいて、オフショア風力サポートプラットフォーム、スターフロート(StarFloat)を開発した。こちらは海底にアンカーで係留された垂直に浮く石油掘削塔のような構造を持つ洋上風力タービンは以下の北海沿岸に設置予定である。

 

Credit: Ocean Flow Energy Ltd.

 

既存の造船所や固定設備の現場建設ではなく、既存の造船所で組立てたのちにプラットフォームを移動する方式でコストの削減ができる。沖合の海上に設置するプラットホームは陸上に建設されて組み立てられ、最終的な位置まで牽引され、一点で前もって設置された係留チェーンに接続されて固定される。最終的な目標は現在の沿岸の風力発電所と競合する約60EU/MW/hである。

 

英国の風力発電量は現在5.5GWに達しているが、風の強い北海に建設する海洋発電パークで2020年までに10GWの発電能力を持たせる予定だ。全世界の再生可能エネルギーは2015年度自然エネルギー世界白書で世界の最終エネルギー消費量の19.3%に達する勢いであるが、その背景には様々な発電様式の多様性を許したことで国や地域性を考慮したため最適化が可能になったことが大きい。中でも単純な構造の風力発電比率は進化を続け、いまでは太陽光を支える不可欠の存在となっている。