スエーデン各地に同時多発する暴動

17.08.2018

Photo: hotair

 

 スェーデンの複数の都市で13日、若者の集団により計100台の車が放火され、警官に投石するなどの暴動が起きた。全身黒服でマスクをした若者たちが、ソーシャルメディアを通じて連絡を取り合い、一斉に複数の都市で犯行に及んだ。

 

 人口が1,000万人のスェーデンはここ5年間で60万人の移民を受け入れていてきた。移民の増加と共に移民による犯罪、主にギャングによる殺人、窃盗、脅迫、暴行、麻薬犯罪、破壊行為などが増加を続けて、深刻な社会問題となっている。

 

 車の放火と暴動は2013年以降、毎年移民が大半を占める都市で若者たちが起こしている。2016年には1,641台、2017年には 1,457台の車が放火されている。しかし、今回の暴動がこれまでと違う点は複数の都市(ヨーテンボリ、ファルケンベリ、トロルベッタン、マルメ、ウプサラ、リューセヒールー、フレールンダ、ストックホルム)で同時に起きていることである。

 

 スェーデンには移民で構成する186以上のゲットー区域があり、その中の61区域は「no-go-zones」(立ち入り禁止区域)と呼ばれている。多くはその区域のギャング組織の支配下にある。若者の失業率は高く、犯罪率も高い。若者の社会への不満は高く、車の放火や暴動は頻繁化している。

 スェーデンの失業率は2017年にはスェーデンの自国民を対象では3.9%であった。

 

 しかし、移民の間の失業率は60%と高い。高校以上の教育、技術力やスキル、語学力が要求されるスェーデンの労働市場では、移民の雇用は大きな問題である。移民の多くは中学かそれ以下のレベルの教育しか受けておらず、スキルももっていない。スェーデン語や新しいスキルの取得には関心がまったくないことなどが雇用問題の解決を難しくしている。

 

 さらに、移民の雇用を難しくしているのが、教育や訓練、スキルを取得するモチベーションが移民側にほとんどないことである。スェーデンの雇用局が2017年に発表したレポートによると、2015年からスェーデンに渡った移民のうち、わずか3~4%が職業教育訓練や語学勉強を受けたいと答えている。実に2015年にスェーデンが受け入れた16.3万人の移民のうち、雇用についたのは494人であった。

 

 

 今回の同時多発暴動はネットワークで動く集団によって引き起こされている。社会に溶けもうとしない移民たちは阻害され孤立化していくことになり、反社会ネットワーク化していくことが懸念される。

 

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