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トランプ政権は9月24日から、対中制裁として中国からの2千億ドル相当の輸入品を対象とする10%の追加関税を発動する。米中協議に進展がなければ、2019年1月1日から関税は25%に引き上げられる。さらに、中国が報復措置を採った場合、約2,670億ドル相当の中国輸入製品に追加関税をただちに発動するとしている。
8月に米国は160億ドル相当の追加関税を発動、中国は報復措置として、333品目の米輸入製品を対象に25%、約160億ドルの追加関税を課した。これまでの500億ドルに今回の追加関税を含むと、中国輸入製品の約半分が追加関税の対象となる。
中国の報復措置
8月に中国が報復措置を採ったように、中国は24日の追加関税の発動に報復措置を採る可能性が高い。楼継偉前財務大臣は米企業のサプライ・チェーンに必要不可欠な原材料や部品の輸出を何時でも停止することが可能と警告している。
報復措置として考えられるのは、人民元の25%切下げ、中国における米国企業のビジネス活動の規制強化、米国からの輸入農産物への追加関税、レアミネラルの輸出停止である。関税面での報復措置では中国が不利であるため、その他の措置に打って出る可能性が高い。それでもこれまでに中国による知的財産の盗用の経済的損失に比べれば、米国が被る経済損失は微々たるものである。
しかし今回の米中貿易戦争をきっかけとして、中国の技術盗用の実態が明るみに出たことが各国の対中政策に大きな影響を与えるとみられる。なぜなら、これまで有り余る資本力にものをいわせて、中国が巧みな資金援助の名目でアカデミアから企業にまで技術者を送り込み、知的財産を盗用していた事実が明るみにでたことで、今後は容易に同じ手口が使えなくなったからである。
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