市場に出回る重金属入りチョコレート

29.03.2016

Photo: trueviralnews

 

水俣の悲惨な公害でカドミウムの危険性が広く知られるようになったが、その他の重金属、例えば鉛、も健康被害を及ぼす。しかし意外にも身近な食品に意図的に重金属が混入されている。子供たちが好きな食品のチョコレートにカドミウムや鉛が含まれていることが明らかになった。

 

欧米ではイースターで子供たちがキャンデイやチョコレートを楽しみにしているが、環境保護団体(AS YOU SOW)の調べで市場に溢れるチョコレートにカドミウムや鉛が含まれていることがわかった。調査はハーシー、トレーダージョーといった大手メーカーの50種について行われ毒物基準やカリフォルニア州の飲料水基準を上回る量が検出された。

 

鉛による中毒は記憶障害、IQ低下、統合失調症に至る健康被害を及ぼす。環境中に鉛は多くの場所で検出される。最も多いのは古いペンキの粉末が飛び散り空気中に漂っている。カドミウム中毒は神経系の障害で水俣の場合には工場の廃液が食物連鎖で魚に凝縮された結果であった。

 

カドミウムも鉛も怖いのは体内に蓄積されていくこと。ごく微量でも長期間摂取により、健康被害に至る量が体内に蓄積される恐れがある。またチョコレートは発育盛りの子供が頻繁に摂取する食品である。

 

しかしハーシーの広報部は何世紀にもわたってチョコレートが原因で重金属中毒者が出ていない、FDA基準を満たしているとして使用中止を拒否している。環境中に鉛は存在するが微量でも鉛は健康被害をもたらすことから、日常的に摂取する食品には含まれるべきではない。

 

鉛が地球上に広まり環境中に存在するようになったのは人為的(工業)が原因であり、子供達の健康を損ねないためには少なくともチョコレートへの添加は中止するべきである。未来の世代へリスクを先送りするという点では原子力と共通する問題である。

 

 

なおチョコレートの添加物で有害なものは他に脳腫瘍を引き起こすとされるアスパルテーム、安全性に問題があるとされるスクラロース、トレハロースなどがある。米国の家庭では子供にチョコレートを虫歯予防の観点から与えない習慣がある。重金属や添加物から子供を守るには適切な慣習かもしれない。

 

 下の表はチョコレートに添加された鉛の濃度である。

 

 

Source: California Agriculture

 

食品に検出される鉛の濃度はMCG100万分の1グラム)という単位で1グラムに含まれる量として表示される。通常の食品に検出されるのは自然環境経由であるがチョコレートの鉛は100倍濃度が高く添加された人為的起源である。