反撃するトランプが矛先を向けるクリントン

20.05.2016

Photo: businessinsider

 

 

 ドナルド・トランプ氏に向けられるネガティヴな報道攻撃はこれまでにないほど増えている。米国の主要メディアは、トランプ氏が米国大統領にふさわしくないと主張する疑惑を掲載している。その中でも、ニューヨーク・タイムズ紙の14日付けのフロントページの特集記事となった、トランプ氏と交流があった数十人の女性に対するセクハラ疑惑が問題となった。

  

 報道を受け、トランプ氏はツイッターで「ニューヨーク・タイムズ紙は本当に嘘つきだ」と反撃した。さらに、セクハラを受けたとする数人の女性たちは、セクハラ行為を否定、ニューヨーク・タイムズ紙の記者が事実を歪めたと主張した。その後、ニューヨーク・タイムズ紙は20ページにも及ぶ記事がでっち上げであったこと認め、問題となっている。

 

 

クリントンの性非行を「レイプ」

 疑惑記事に対して、18日にはFOXテレビのインタビューでトランプ氏は、交流があった女性たちへのセクハラ行為を完全に否定した。話はそこで終わらず、ビル・クリントン元大統領の不倫スキャンダルと比較したら、深刻度が違うと述べた。なかでもクリントン氏の数々の性非行の一部が「レイプ」であったことを指摘した。

 

 ビル・クリントン氏は大統領になる前のアーカンソー州知事時代から不倫スキャンダルがり、大統領となっても数々の不倫スキャンダルやセクハラ容疑で告訴される件がある。不倫スキャンダルのなかでも最も有名なのが1998年のホワイトハウス実習生のモニカ・ルインスキーとの不倫スキャンダルである。今回初めて、国民の前でクリントン氏の性非行が「レイプ」を含むことを暴露したのである。

 

 

選挙戦の論点

 トランプ氏はビル・クリントン氏の女性への性的虐待を選挙戦の論点の一つにすることを表明している。ビル・クリントン氏を「政治史のなかで女性を最も虐待した政治家」、妻のヒラリーを「共犯者」と呼んでいる。ヒラリー・クリントン氏のベンガジ事件への関与、電子メール事件、クリントン財団への献金問題に続き、女性への性的虐待問題は女性支持者に与える影響は大きい。スキャンダルまみれのヒラリー・クリントンこそ時期大統領にふさわしいかどうかを真剣に問う必要がある。問題はニューヨーク・タイムズ紙などのマスメディアが真相を報道するかどうかである

 

 ニューヨーク・タイムズ紙の大株主であるCarlos Slim氏はクリントン財団に巨額の寄付を行ってきたことはよく知られている。その他にも、複数の取締役、編集者、複数の記者が寄付していることから、ニューヨーク・タイムズ紙とクリント氏の利害関係は明らかである。今後どのような報道が行われるかが問われる。