ISがトヨタ車の入手経路(最新情報)

13.10.2015

Photo: examiner.com


米国財務省がISがトヨタ車(ハイラックス、ランクル)を大量に仕入れる経路の調査に乗り出したことは色々なメデイアで伝えられた。ハイラックス(上の写真)はテロリスト御用達というレッテルを貼られたが、どのようにして新車を仕入れるのか謎であったが、このほどその経路が明らかになった。


財務省はトヨタに協力を求めたがそれはお門違いであった。というのもシリア自由軍に大量のトヨタ車を援助として送り込んでいたのは国務省であったからだ。2014年にシリア自由軍(とタリバン)への援助品にトヨタ車が含まれていたことがわかっっていた。


トヨタ車(ハイラックス)の指定はシリア自由軍からのものだったという。殺傷能力のある武器以外の援助は合法のため英国も同様の支援を行なっている。つまり合法的な範囲で米英がシリアのテロリストに援助を行なっていて、そのリストに相手の希望でトヨタ車が入っていたのである。


何故テロリストがトヨタ製の新車を乗り回すことができるのかについてひとつの経路は合法的な援助ということがわかった。トルコ、ヨルダン、イラクからもトヨタ車がシリア側に流れたことを含めると大量のトヨタ車の存在も納得できる。


しかしこの事実はすでにわかっていたことであり、今になって財務省が目くじらたてる意味は何か。それは米国がこの問題を公式に追求する構えを見せれば、当の国務省や英国政府が供給に一役買っていることをカモフラージュにできると考えたためと思われる。



Photo: ar15

 

しかし疑問は残る。テロリストが乗るトヨタ車はハイラックスであるが、この車は北米では手に入らない。タコマ(上の写真)という名前で製造・販売されているからだ。そこで援助品のトラッックは米国以外の国で製造されたものを買い上げて供給しているとみるべきである。ハイラックスかタコマは後部ドア右上に車名が入るがテロリスト仕様ではここを隠して、トヨタという文字を残すことも多い。

 

ハイラックスの生産拠点はタイである。タイ国内用ハイラックスは右ハンドルだがISが乗っているのは左ハンドル車なのでタイで製造された欧米輸出モデルとなる。トヨタはIMVInnovative Multi-purpose Vehicle)のもとに世界戦略車500万台を海外拠点で生産する。

 

ハイラックスは代表的なIMVの車種。IMVに求められるのは新興国市場で要求されるタフさ。ちなみにハイラックスは「テロリストタフ」というキャッチフレーズで、走行環境が劣悪な中東では大人気。IMVトヨタ車が新興国市場で売れまくる。こうなるとISばかりがトヨタ車好きというよりは頑丈で安価な日本車が道路状態の悪い国で売れている背景があった。

 

 

米国はトヨタを正す前に何故、テロリストがフォードエクスプローラーを指定しないのか考えてみる必要がありそうだ。ハイラックスを製造するのはタイのサムロン工場。タイには他に2箇所の工場があり、合わせて51万台のIMVを生産する。

 

一方、モハメドアリをキャンペーンに起用したトヨタの中東販売も伸びており、1983年にイラン政府からランクルなど45,000台を一括受注した他、ハイラックスは湾岸諸国に販売されている。イラク、イラン政府からの一括購入では10万台以上のトヨタ車が販売されている他、レバノン、ヨルダンでも販売が伸びている。

 

 

米国がクレームをつけるとしたら米国メーカーが新興国のニーズに応えていないことに対してであろう。長期間過酷な環境でメンテフリーのテストをしてみれば一目瞭然だ。米国はそろそろグローバル戦略の怖さに気がついているのだろうか。

 

Source: Toyota