HVキラー登場ー空気自動車とは

Oct. 26, 2014

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 HV やEV についてのメーカー側の思惑は現状ではHV と低燃費ガソリン車とクリーンデイーゼル車で低燃費競争、ゆるやかにPHV からEV に移行、その先は水素社会の一環としてFCV というシナリオである。2050 年には2000 年比で80%CO2 削減を突きつけられており、通常のガソリン車は走れない社会になる。HV の世界には、最近新しい発想の刺客が登場した。

 低燃費車の旗頭であるHV 車はガソリンエンジンで発電した電力をバッテリーに(電気エネルギーとして)蓄え、モーターを駆動源とし(注)減速時には運動エネルギーを回生して(電気エネルギーに変え)さらに蓄電を増やす。この切り替えを膨大なプログラムできめ細かくやることでエネルギー収支効率を最適化しようとするものだ。

 

 しかし基本的にガソリンエンジンに頼っている点では一般車道類なのである。化石燃料を使わない車の模索が始っているがHV の媒体を電気から圧縮空気とした空気モーター車は新しいジャンルの超低燃費車として注目を集めている。

(注)ホンダ車の一部(ACCORD hybrid)にはモーターを常に駆動して、エンジ
ンを発電専用としたものもある。

 パリ国際モーターショーにおいてシトロエン、プジョーという2 大フランスメーカーがHV キラーを送り出した。モーターに空気モーターを使い、バッテリーの代わりに圧縮空気ボンベを使うのだ。空気モーターというと聞き慣れない言葉だが、空気駆動はリベット打ち機などではおなじみのもので、空気を媒体として動力源とするアイデアはこれが初めてではない(MDI Airpod)。

 

 シトロエン社のC4 Cactus Airflow 2L は一般車と見分けがつかないスタイリッシュなデザインである。C4は50km/l の燃費である。これで燃費競争のトップであるホンダフイットHV の36.4km/l を大幅に上回り、市販車トップに躍り出た。

 


これからのHV の標準を大きく変えた空気モーター技術とはどのようなものなのだろう。

 

 原理は単純で一種のタービンエンジンであるベーンモーターは油圧モーターとして建設機材や加工機械などで広く使われている。ベーンモーターは油圧モーターとしては一般的であるが、ベーン機構に摺動部が多く低速では脈動やトルク変動が大きく、高速では潤滑や発熱の問題があり寿命も短くなると思われていた。

その欠点を克服すれば、燃費向上だけでなく、どうやっても化学物質と縁の切れないバッテリーが不要で廃棄の必要がないこと、排気ガスは空気であるため環境面でメリットが大きい。C4 では1.2l ガソリンエンジンを使うが、将来的にはバイオ燃料とするなどさらに改良が可能である。

 

どうやらHVキラーが登場したことは間違いないようだ。他をみて同じ方向に走っていてはこういう技術の展開がみえあなくなるということなのだろう。日本の自動車メーカーの頭の柔軟性が問われる。