景気回復していないアメリカ

03.03.2016

Photo: ljworld

 

 米国はリーマンショック後の大不況から回復、経済のファンダメンタルズは強く、景気は堅調であるとの見方をFRBは変えていない。1月の一般教書演説でも、オバマ大統領は『最大の経済危機から回復、アメリカは世界で最も永続性の強い経済国である。』と述べている。だが、全米群協会(National Association of Counties: NAC)の最新調査によると、全米の3,069群のうち93%は景気回復していないと報告している。

 

 

景気後退してから7年以上が経過しても、景気回復していなとなれば、世界経済の低迷で今後も地域経済の回復は見込めないどころか、より不況が深刻化していく可能性は非常に高い。

 

 調査は全米3,069群において、総雇用者数、失業率、GDPと住宅価格の中央値など4つの経済指標の変動推移を分析している。その結果、全米の93%の群は依然と景気後退前の水準まで回復しておらず、地域ごとに景気回復の程度の差があると指摘している。

 

 

 2014年に65群であったのが、2015年には214群が景気回復したと報告されているが、全米の7%にすぎない。景気回復した群はほとんどシェルガスブームで恩恵を受けた州で、そのなかでも72群、約34%はテキサス州に集中していた。しかし、原油価格の下落でエネルギー関連企業の倒産も起き始めていることから、景気が悪化するのは避けられない状況にある。現に、ノースダコタ州は不況に転換したと全米経済研究所は報告している。

 

 人は自分の居住地域で景気が上向きか、下向きかを感じると言われる。多くのアメリカ人が政治家、FRB、ウォール街、マスコミなどが、アメリカ経済が堅調と述べても疑問に思い、政府に対する信用と不満が募るのも当然である。