Photo: The Martyrdom of Thomas

 

グリフォセート(Glyphosate)と言えば世界で最も使用されているモンサント社の雑草剤である。GMOときっては切れない「ラウンドアップ」はこの物資(三塩化リン、PCl3)のこと。グリフォセートは600ppmで数分で死ぬれっきとした毒物に分離され劇物取締法の規制がかかるが、生産が簡単で低コストのため年間30万トン以上が農薬として耐性を持つGMO種子と組み合わせて出回っている。

 

そのグリフォセートがドイツの有名ビール14種から最大で30マイクログラム/リットル(規制値の300倍)の濃度で検出された。ドイツではビールをモルト、水、ホップのみでできたものとして定義しているが、劇物農薬が検出されたことが問題となっている。欧州のグリフォセート使用許可はまもなく期限が切れるがさらに15年延長の動きがある。

 

検出されたグリフォセート濃度は銘柄によって0.5-30マイクログラム/リットルと差がある。ドイツ政府当局はモルトの原料の大麦生産にはグリフォセート使用が禁じられているとしている。ビール製造会社は健康に影響は出ない微量としているものの、ビールの個人消費量(年間平均1,000リットル)が多いドイツでは微量でも影響が懸念される。1,000リットルに含まれるグリフォセートは30mgとなるからだ。

 

グリフォセートが発癌性を持つことが議論されているが、専門家の意見は発癌リスクを高めるとしている。GMO農作を始めると毎年「ラウンドアップ」を購入しなくてはならなくなる。GMO種子がグリフォセート耐性を持つからである。モンサント社の戦略はラウンドアップと種子の販売をセットで行い膨大な利益を得るものだ。

 

グリフォセートは下の図に示すようにアミノ酸を合成するために必要な酵素(EPSPS)が合成されるプロセスを遮断する。このため耐性を持たない植物(雑草)の発育を阻止する遺伝子工学はわかりやすいが、生態系に影響を及ぼす危険性とそれ自身の発癌性により健康被害が問題となる。

 

 

Source: Plant & Soil Sciences eLibrary

 

欧州では大規模な反対運動が起こり世界的にもオーガニックすなわち非GMO食品の人気が高まりGMO規制がかかり始めている。なお欧州のGMO食品規制に比べて日本の規制は緩く、TPPで表示義務がなくなればさらに大量のGMO食品が市場に流れ込む。人々は安いという理由で発癌性物質を含む食品漬けになることはPPTの是非の議論に上がらない。