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11月の第4木曜日の感謝祭の翌日の金曜日は、一年で最も大規模なセールが開催されると言われている「ブラック・フライデー」である。年末商戦がこの日をもって始まるとされ、どこの小売店も黒字になる傾向があることからブラック・フライデーと呼ばれる。
年々、セールの広告宣伝が大胆となり、セールの規模も拡大していった。翌週の月曜日は、「サイバー・マンデー」と呼ばれ、ウェブ上の小売店がセールを開始する。そのブラック・フライデーを巡り、今年も全米各地でセール品の争奪戦や暴動が起きた。
消費者は通常より、大幅な割引で商品を購入できると認識していることから、どこの小売店もブラック・フライデーには賑わっている。しかし、現実はブラック・フライデーの数ヶ月前から小売店は商品価格を意図的に上げ、ブラック・フライデーの割引をより大きく見せかける仕掛けを行っているのである。
ウォールストリート・ジャーナルによると、ブラック・フライデーの割引はでっち上げで、小売店は消費者が安いと思わせるための価格操作を一年通して行っている。実際に割引が大きい商品も含まれているが、多くの商品は割引を上回る価格設定が行われている。
例えば、仕入れ価格より商品価格を90%高く設定し、ブラック・フライデーには70%オフのセールを行えば、小売店は差額の20%が利益となる。
商品が50%, 60%, 70%オフと大々的に広告を出し、消費者はこの日しか商品を安く買えないと思い込ませている。だが、小売店は一年間のうち、ブラック・フライデーとその期間には、売上高利益率が最も高いのである。
ブルームバーグが2013年に米国トップ15の小売店に関して行った調査では、2012年にはブラック・フライデー前の9ヶ月間の9%と比べ、15社の平均売上高利益率はブラック・フライデーを含む年末商戦の期間のほうが11%と高かったのである。
Source: Bloomberg
アメリカ消費社会とその中心となる小売業界が作り上げたブラック・フライデー。そのブラック・フライデーの安売り商品を求めて店に押しかける多くの人は低所得者で、商品の奪い合いとなるのが中国製品である。アメリカ人でさえ目を背けたくなるような、商品の奪い合いが略奪と紙一重のところまで激化している背景には低所得者層の精神構造を操る企業戦略がある。