アメリカで最も危険な女性 メアリーマローン

Nov. 3, 2014

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 10人以上感染させるウイルスキャリアーをスーパースプレッダーという。米国の看護師がエボラ出血熱感染の恐れがあるにもかかわらず、屈強な体にものをいわせて自転車で外出し物議をかもしている。本人は元気で自分は感染していないので隔離される覚えは無く、自由の身であることをメデイアの前で堂々と主張した。人権の侵害だといわんばかりの剣幕にメデイアもたじろいだようだ。

 米国女性の中には似たような女性が過去にいた。腸チフスのマローン(Typhoid Mary)として知られるメアリーマローンである。メアリーはニューヨークに移住したアイルランド系アメリカ人で健康保菌者でニューヨークで発生した腸チフスの感染を自覚せずに広めたことで有名な女性である。



 14歳で渡米したメアリーは多くのアイリッシュ同様に貧しかったが、料理の腕が買われ、住み込みの家政婦として雇い主の評判が良かった。そのため腕を買った雇い主の住居に住み込んで料理をつくる家政婦兼料理人であった。7年間で住み込み先を変え、その間に22人の感染者を出した。

 勤め先の富豪は資金を出してニューヨーク州衛生局に感染源を突き止めることを依頼し、敏腕の衛生士ジョージソーパーが調査にあたる。彼は詳しい調査の結果、感染源をメアリーに絞り込んだ。そこで医師をメアリーに向かわせ、保菌者であるかどうかの検査を要求したが、メアリーは逆上して騒ぎを起こし、とうとう警官がでて強制的に彼女の便を検査に回すことができた。

 


 メアリーが健康保菌者であることがわかったが、納得しないメアリーは納得せず怒り狂い、ニューヨーク市衛生局を相手に隔離の中止を求めて訴訟を起こした。病室のガラス越しにメデイアの取材を受け、記事が世間の注目を集めTyphoid Maryとしてその名が広く知れ渡った。しかしこの女性は一筋縄ではいかなかった。衛生局は裁判に勝利したが、一般の人と接触しないことを条件に隔離を解かれたとたん失踪する。

 


 所在不明が続き居所が確認できた時は5年後であった。メアリーは偽名を使いニューヨークの病院で料理人として働いていたのである。その結果、25人の感染者と2名の死者を出した。