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パーデュー大学の研究チームは2D遷移金属カルコゲナイド(MoSe2)で作られた低ノイズで高性能のシットキーバリア型FETデバイスを開発した。このFETデバイスは、シリコンに代わる革新的なマイクロエレクトロニクスと精密センシングのキーテクノロジーとなる可能性がある(Kwon et al., Phys. Rev. Appl. 10, 064029, 2018)。
このデバイスは優れた高いオン/オフ特性が確認されているが、電子輸送と低周波ノイズとの明確な相関がないことが特徴である。研究によってチャネル厚みが10-15原子層になると、トランジスタ特性が最適化されるばかりでなくノイズが低減されることが明らかになった。
チャネル厚さを3~40原子層に変化させてFET特性を調べた結果、測定されたノイズ振幅は、ゲート電圧が増加するにつれて、チャンネル間ノイズと全ノイズの相関が認められなかった。下図は3L FETのオーバードライブ電圧の関数としてのノイズ振幅。
Credit: Phys. Rev. Appl.
MoSe2のような原子スケールの2D材料から次世代のトランジスタを構築されれば、今日のシリコンエレクトロニクスに取って代わる高性能トランジスタが製造できる。デバイスや回路に存在する電子ノイズが、材料が極端に薄くなると悪化すると考えられていたが、この研究は、10~15原子層の薄い層厚を制御できれば、スイッチをオンにするなどの高性能を発揮するだけでなく、非常に低い電子ノイズのデバイスが可能になることを明らかにした。