ファーウエイを巡る欧州通信会社のジレンマ

05.02.2019

Photo: gizchina.com

 

 欧州の電気通信大手は次世代5Gモバイルネットワークの整備にファーウエイ採用で迅速に進めるか、安全保障を優先に同社を計画から除外するかのジレンマに立たされている。

遅延のない高速通信と膨大なデータ容量5Gネットワークはデジタル革命における革新であり、IoTで未来社会に大きなインパクトを持つとして、基地局テクノロジーも衛星ビジネスも民間企業主導で進められてきた。

 

 通信大手は2019年に一部地域で商業運用が開始される予定で、取り残されることは利益の出る新規事業で後手にまわることになる。また主導権を民間にとられた政府も、5Gテクノロジーを将来の経済成長の主なエンジンと見なしている。

 

 中国のファーウエイ社は、高性能でありながら低価格を売り物にし、4GスマートフォンでiPhoneを抜き販売台数世界第3位の地位を築いただけでなく、発展途上国のモバイルネットワーク機器のリーディングサプライヤとなっている。そのファーウエイ最は先端の5G機器でも先進国市場に進出しつつあるが、中国の法律で同社は情報管理当局と協力することを要求されているため、その機器がトロイの木馬になる可能性がある。

 

 安全保障を懸念したトランプ政権の圧力で西側諸国はファーウエイ5G機器の採用を見送る可能性が高まった。もちろんファーウエイは自社の通信機器がスパイ活動に使用される可能性があることを否定しているが、盗聴チップ問題や幹部のスパイ容疑で疑惑が増大している。

 

 欧州各国政府が規制強化でファーウエイ製品の締め出しにかかっているが、Bouygues TelecomやSFRなど大手通信会社はファーウエイの機器を使用したテストを、フランスのいくつかの都市ですでに開始している。これまで米国のクアルコムの後塵を拝していた思われていたファーウエイはクアルコム製品を使わず独自にCPU供給企業を子会社として、高度な5Gネットワーク機器を開発済みであり、高い競争力を持つまでになった。

 

 専門家によると、ファーウエイは5G機器技術でスウェーデンのエリクソン社よりも6ヶ月から1年早く、フィンランドのノキアは、さらに遅れているという。5Gネットワーク機器を導入するにはファーウエイを採用しさえすれば、スマートフォン向けの超高速接続が早期に可能になる。ファーウエイには中国製品の低品質イメージはなく、高性能で低コストを武器に(安全保障のリスクを無視すれば)早期導入で、5G市場を押さえることができるとなれば、通信大手が食指を伸ばすのは当然かもしれない(下図)。

 

 

Credit: worldview.stratfor.com

 

 通信業者の弱みに付け込んで、ファーウエイは、「我々は常に通信業界の発展を促進するためにオープンイノベーションとコラボレーションの原則を擁護してきた」として優良企業ぶりをアピールする。ファーウエイは毎年、売上高の10~15%を研究開発に投資していおり、 2017年の研究開発費は138億ドル、昨年は150億ドルであった。

 

 高い技術力を背景に2017年にファーウェイは通信ネットワーク用機器のサプライヤとしてトップ22を占め、市場シェアは22%で、ノキアの13%、エリクソンの11%を越えた。そのためファーウエイに頼らず5Gネットワーク構築が難しくなった。ブルームバーグが入手したドイツテレコムの内部文書は、ファーウエイの5G機器使用を禁止した場合、欧州は中国と米国より2年間、遅れを取る可能性があると警告した。5Gネットワークの一番の問題はFCCなど行政が完全に民間に遅れをとり、後追いで認可する前に整備と運用計画が着々と進行していることだ。ファーウエイの情報漏えいリスクが含まれることは言うまでもない。その先にはIoTで完全な監視社会が実現する。