中国新幹線の印象

中国の新幹線輸出を巡ってインドネシアへの売り込みで債務肩代わりなど破格の条件で受注を成功させたことが話題になっている。日本のネットには受注に失敗した腹いせか、安全性への懸念がたびたび取り上げられている。

 

性能に関しても最高速度においては日本をはるかに上回るということを大々的に売り込んでいる中国だが本当の実力はどうなのか、興味を持つ人も多いだろう。

 

上海ー北京路線は日本で言えば東京ー大阪間に相当する看板路線だがあくまで筆者の目線で印象をまとめてみた。

 

中国新幹線の座席配置は2等が3-2で日本の新幹線の普通車両、1等が2-2でグリーン車、最上級は2-1のグランクラス同等となる。快適な旅を求めるなら1等を選ぶのがよい。その場合、シートピッチは日本のグリーン車より余裕があり、バゲッジを押し込んで座ることができる。

 

また欧州の車両のようにバゲッジを置く場所もあるので、荷物が多い場合でも1等で長距離便の苦痛は少ないと思う。中国の公衆トイレには紙がない。誰かが持ち去るためだ。1等のトイレを使うのをためらっていたのだが、驚くべきことに洋式でエアバスA380やBoeing787より広い。

 

上の写真はグランクラスに相当する特別車両だが、足から下がフラットになるので、快適性は高い。日本のグランクラスは経験がないがオットマンがフルフラットになるのだろうか。

 

中国の高速鉄道の最高速は商用ではないが605kmだそうで、リニアと同等以上である。実際に乗ってみると確かに直線区間の郊外の速度は高いのだが、市内に近づくにつれて速度が落ち相当に遅くなる。

 

上海空港と市内を結ぶマグレブでも最高速に達して数分後には減速に入るし、時間帯によって最高速は落とした運行なので注意する必要がある。

 

筆者の個人的な感想では日本の新幹線とは異なるもので、どちらかというと車幅の大きくなったTGVのような感覚だ。

 

中国の高速鉄道でびっくりしたのは車両間のスペースに電子レンジがあること。インスタント食品を加熱して座席で食べるためだ。新幹線にないものといえばもうひとつある。先頭車両の最先端部分が特別室になっているのだ。もちろん運転席のような窓はないのだが謎のこの特別室には一度乗ってみたい気がする。

 

新幹線の文化を中国に押し付けることもできないのかもしれない。